「トランプ弾劾」が示すアメリカの深刻な二極化 歴史的な裁判のお膳立ては整ったが

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民主党の最も熱烈な支持者は、2017年の就任以来トランプ大統領を弾劾することを夢見てきた。究極の反乱者に対する民主党支持者が信じる極端な救済策は、自身の利益のためにトランプ大統領が法律を破るというものだった。討論は今年、民主党がほぼ10年ぶりに下院の支配権を取り戻し、2016年の大統領選挙のキャンペーンが、ロシアと共謀し選挙に干渉したかどうかについての2年間の司法省調査の結果を待つ中で新たな進展を見せた。

しかし、左派がトランプ大統領の罷免を懸命に要求していた時、民主党リーダーたちはこれに迎合はしなかった。「トランプ大統領は弾劾努力をする価値もない」とペロシ下院議長は3月に言及している。

特別弁護人チームによる調査報告書には、トランプ大統領が調査の妨害を試みたことに対し、大統領による司法妨害の可能性を示す10項目以上の事例についての詳細が書かれてあったにもかかわらず、特別弁護人が告訴の進言をしようとしなかったため、ロシア疑惑調査は立ち消えとなっていた。夏休みを終えた議員たちが秋に議会に戻るころには、弾劾への動きはほとんど鎮火していた。

先行きはいたって不透明

ところが、ペロシ下院議長の思惑、そして世論が、9月になって一変した。CIAの不正告発者が下院に情報を届けてきたのだった。

これによってただちに開始された調査は急展開し、民主党にはまだ独立顧問や調査業務を構築する特別検察官すらいなかった。その代わりに下院諜報委員会は、上級外交官とホワイトハウス官吏への尋問を求め、大量の文書提示を要求した。

非公開尋問に続くテレビ公聴会では、ホワイトハウスからの尋問拒否命令をものともせず、彼らはトランプ大統領とその協力者たちによる行為についての概要を証言した。それによると、彼らはウクライナに対するアメリカの政策を逆手にとって、大統領の個人的便宜を目的に、「(あるホワイトハウス旧役員いわく)内政上のお願い事」を実行させようとしたのだった。

議会妨害の容疑の火に油を注ぐように、さらに10人以上の証人たちが調査官へ証言することをホワイトハウスに阻止され、その中にはトランプ大統領の行動を直接的に知る人間も含まれていた。さらにトランプ政権は強制召喚を受けた文書の提出を一切拒否した。18日、議員らもトランプ大統領側近らもその決議を予測してはいなかった。

「両党派が真っ二つに分裂しているこの議事が今夜どんな結果となるかはわかっている」とウィル・ハード議員は言う。同氏はトランプ大統領の振る舞いを積極的に非難する数少ない共和党員の1人で、今期をもって議員職を退くことになっている。「ただし、明日は一体どうなるだろうか」。

(執筆:Nicholas Fandos記者、Michael D. Shear記者)

(C)2019 The New York Times News Services 

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