「トランプ弾劾」が示すアメリカの深刻な二極化 歴史的な裁判のお膳立ては整ったが
「大統領と彼の手下たちはいまだに陰謀を続けている」とシフ議員は言う。「危険な状態は今も継続しており、そのリスクに疑いの余地はない。アメリカの民主主義は危機にさらされているのだ」
前任者が弾劾に直面して行ったように、悔悟を示したり辞職を考慮するどころでなく、議会が彼の運命を考察するとき、代わりにトランプ大統領は憤慨して自己防衛した。ホワイトハウスからツイッターでこう激怒した。
「極左の極悪な嘘、何もしない民主党、」と大統領は歴史的な討論が行われている時に投稿した。「これはアメリカへの非難、そして共和党への非難だ!!!!」
30分の電話が政治生命を脅かす
のちに議会で議員たちがトランプ大統領を弾劾する採決を行っているとき、トランプ大統領はミシガン州バトルクリークでアリーナスタイルの集会を開いており、ステージで支持者から賛美を受けていた。この時トランプ大統領は根拠のない非難に基づく「でっちあげ」として、この問題と直面することを避けた。これは永遠に同氏の大統領としての汚点になるとも認めた。
ロバート・モラー元特別検察官による2年にわたるロシアの選挙の調査、もしくは終わりのないように見えるホワイトハウスを悩ますほかの汚職や職権乱用への非難はここまでトランプ大統領を追い込まなかった。ロシアのアメリカ大統領選干渉疑惑、脱税疑惑、職権を使い利益を得たり、ポルノ女優への支払い、チャリティー基金の不正行為などどれもだ。
ところが、7月25日に30分間かけた電話がトランプ氏の大統領職を脅かすものになった。トランプ大統領はこの電話でウクライナ大統領に圧力をかけ、ジョー・バイデン前副大統領と、ほかの民主党員を調査し情報を知らせるように要請したのである。同時にウクライナへの約4億ドルの軍事支援とホワイトハウスでの会合を延期した。
議会は、匿名のCIA職員による8月の内部告発後にその電話会談について知った。大統領とその協力者が外国政府に圧力をかけ、政敵を中傷させようとした動きを解明する手掛かりになった告発である。今秋は数週間にわたり、外交官やそのほかの行政官が次々とその暴露内容を確認して広めた。
計画について知った議会が調査を求めると、トランプ大統領はそれらの要求をすべて無視するよう政権に命じた。結果、18日に下院が、三権分立の侵害であり、事実上、トランプ大統領は自らが法を超越する存在だと主張している、と発言するに至った。