「みずほクラッシュ指数」が示す「株価の崩壊」 経済物理学によると今年も年末年始に要注意

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今年の大納会は波乱なく終わるのか(撮影:梅谷秀司)

米中通商交渉での第1弾の合意、英国の総選挙における保守党勝利によって「合意なし離脱」が当面回避されたことなどを受け、市場ではリスクオンムードが広がっている。もっとも、足元の株高は秋ごろから始まっており、背景にはFRB(米連邦準備制度理事会)によるバランスシートの再拡大とECB(欧州中央銀行)による量的緩和政策という金融政策の転換があると、筆者は考えている。

米国は9月下旬に短期金利(債券の貸し借りをともなったレポ市場が中心)が急上昇したことを受け、2020年4~6月期まで一定ペースで市場の資金供給量を増やすことを決めた。FRBはこの対応は金融緩和策ではなく、短期市場の資金量をコントロールするための技術的な措置であると説明しているが、中央銀行がバランスシートを拡大している(市中の資金供給量を増やしている)という点では、量的緩和政策と変わりはない。

リーマンショック以降、FRBは複数回にわたって量的緩和政策を行ってきたが、いずれの局面でも「金余り相場」によってリスク資産(特に株式)が買われやすく、相場が上昇してきたという記憶が市場参加者には鮮明に残っている。したがって、FRBがバランスシートを拡大することを約束している20年4~6月期までは株式市場は堅調に推移するという見方もできる。

バブルの兆候を「みずほクラッシュ指数」で探る

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ただ、足元の株高はやや「スピード違反」にも見える。前倒しで株高が進みすぎてしまえば、期せずして市場が自律的な調整を余儀なくされる、「ミニバブルとその崩壊」もありうるだろう。

今回のコラムでは、「みずほクラッシュ指数」を用いて、足元の株価がどの程度「バブル的な動き」をしているのかを検証した。

筆者は経済物理学のモデルを用いた「みずほクラッシュ指数」(以下、クラッシュ指数)を作成し、主に日本株におけるバブル(下落の場合は逆バブル)の予測を行ってきた 。本コラムでも3回にわたって取り上げ、ほぼ的中させている(『経済物理学で日経平均株価の暴落時期を探る』、『「2月暴落」が的中!経済物理学で「次」を予想』『経済物理学で予測、株価は2019年初に下落』)。

クラッシュ指数は、経済物理学においてバブル相場の典型的な形状を示すと言われている「臨界モデル」の考え方を用いて作成される。具体的には、TOPIXの100営業日のデータセットに対して「臨界モデル」のフィッティング(形状の当てはめ)を逐次的に行う。要するに、100営業日のチャートがバブル発生時の典型的な形状にどの程度似ているのかを確認することで市場の「バブル度」を計ろうというコンセプトである。

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