カナダ人落語家「日本人に感じた魅力を語ろう」 柔軟で貪欲、謙遜は美徳だが自慢してもいい
日本人は、文化に対する貪欲さと柔軟性がすごい!
――カナダ出身のサンシャインさんが、最初に日本に来たきっかけは?
トロント大学で芝居の研究をしていて、能と歌舞伎には、ギリシャ喜劇と共通する点があると知りました。「本物を観てみたい」と1999年に半年間の滞在予定で日本を訪れました。当時はインターネットも発達していなかったので、日本に関する事前情報はほとんどなし。「経済大国」「カブキ」「スシ」ぐらいのイメージでしたね。
――日本の第一印象は?
新宿に行ったら、高層ビルのライトアップが未来的で、テクノロジーを感じました。一方で、路地に入れば、何代も続く老舗の呉服屋やお茶屋が残っています。伝統と最新が混在していて「何ここ、最高に面白い!」と。
――アメリカやカナダは、歴史が浅いですからね。
ええ。ヨーロッパには歴史がありますが、「社会がモダンになりすぎると、伝統が忘れられる」という恐れを持っています。ですから、新しいものを取り入れることに慎重ですし、伝統は「守るべき存在」です。一方、日本人は、とてもナチュラル。頑張って伝統を守っている感じがなく、「面白いから」と茶道や書道を習ったり、俳句や短歌を趣味にしたり、子どもに剣道を習わせたりしています。
――同時に、日本人は、「面白い」と思ったら、外国文化も躊躇なく取り入れます。最近はハロウィーンなんかもイベントとして定着していますね。
そうそう、宗教でも、仏教、神道、キリスト教など、イベントに合わせていいとこ取り。こだわりが薄いですね。「どっちかを選ぶ必要がある?」とばかりに、文化を掛け合わせるのが得意。明太子パスタなんて、イタリア人もびっくりですよ。文化に対して、これほど貪欲で柔軟な国はほかにないでしょうね。
――「日本人は、マネはうまいが、オリジナリティーがない」と、ネガティブにも評されてきました。
マネして、10倍のクオリティーに仕上げるのがうまいですね。私の父はカナダで自動車修理業をしていましたが、「日本車はアメリカ車のコピー」と悪口を言いながらも、「性能がいいのは見習うべきだ」とも言っていました。日本人のマネのうまさは、悔しさと尊敬の念で見られてきたのではないでしょうか。
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