人気沸騰「移動できる家」に見る多様な暮らし方 そのとき一番住みたい場所で、身軽に暮らす

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気軽に移動できる小さな家。そんな住まいを開発するのは、YADOKARI設立当初からの目標だったそうだ。

「YADOKARIは土地やローンに縛られる日本の住宅事情に対しての疑問から発足した企業です。自由な暮らし方を提唱するうえで、『移動する家』のアイデアは、当初からありました。この世界には至る所にすばらしい景色があり、ユニークなコミュニティーがあります。心の赴くままに好きな場所で暮らし、好きな場所で働く。『Tinys.mobi』で、そんな自由を提案したいのです」

「Tinys.mobi」は、オプションでソーラーパネル式蓄電池を装備することができ、オフグリッド(電気や水などのライフラインがない場所)でも生活が可能だ。水は持ち込む必要があるが、いずれは50ℓの水で3カ月程の使用に耐える循環式の浄水システムを搭載する計画があるという。さわだ氏はトレーラーハウスやキャンピングカーを駐車できる場所の、ネットワーキングにも着手したいと意気込みを見せる。

「移動する家」が旅の手段にとどまらず、長期間の居住に耐えるようになれば、住まいの選択肢も増えそうだ。実際のところ、「Tinys.mobi」はどのような用途で使われるのだろうか。また、普及に向けての課題は、どんなところにあるのだろうか。

ホテル利用、災害時利用にニーズあり

YADOKARIのさわだ氏によると、宿泊施設としてのトレーラーハウスは注目度が高く、都市でも地方でも需要があるという。実際に「Tinys.mobi」は三重県志摩市とYADOKARIがタイアップして開発したという経緯があり、志摩オートキャンプ場にて宿泊施設として活用される。

「YADOKARIにはすでに横浜で大型の車両付きタイニーハウスを利用した宿泊施設『Tinys Yokohama Hinodecho』運営の実績があるので、新作の『Tinys.mobi』も多くの企業や行政の方々に宿泊施設として興味を持っていただいています。開発にあたってご協力いただいた志摩市以外にも、福岡の糸島をはじめいくつかの地域に設置する計画が進んでいます」

ホテルなどの商業施設としてトレーラーハウスが人気なのには大きな理由がある。人を呼ぶ施設は立地がカギ。通常なら、人の流れを読んで土地を取得し、建築物を建て……といくつものハードルがあるものだが、トレーラーハウスなら移動が簡単なうえに、通常建築物を建てられない場所にも設置が可能だ。

だから今まで人の流れがなかった場所や、通常は建築不可のスペシャルなロケーションにも展開しやすい。しかも住宅と車両の中間的な立ち位置ゆえに、固定資産税や不動産取得税がかからないという金銭的メリットもある。

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