俺たちの「大戸屋」が変わってしまった理由 ランチ迷走で自滅、外食大手が買収に意欲

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確かにこうした負担軽減策も重要だが、店内調理にこだわるのであれば、その認知度を高める工夫も必要だろう。競合より高い価格であっても、消費者はその背景に納得・共感すれば支払う時代。提供する企業側にとっては当たり前のことであっても、消費者にはていねいに説明しなければ伝わらない。

もっとも、なかなか反転攻勢の糸口がつかめない大戸屋ホールディングスだが、業績とは裏腹に株価は好調だ。11月中旬には17年ぶり高値となる2694円をつけた。これは、外食大手のコロワイドによる大戸屋ホールディングス株の取得と、今後の買収の観測によるものだ。

10月1日、コロワイドは大戸屋ホールディングス創業家の三森三枝子・智仁の両氏から、発行済み株式の18.67%を取得。コロワイドの野尻公平社長は11月15日の決算説明会で「M&Aも検討している」と説明した。

合理化を徹底する社風になじむか?

コロワイドは居酒屋「甘太郎」「土間土間」、焼き肉の「牛角」、ハンバーガーの「フレッシュネスバーガー」など多種多様な業態を展開する。セントラルキッチンを持ち、多くの業態で共通の食材を使用することによる、効率的な店舗運営に特徴がある。野尻社長は決算説明会の場で、大戸屋について、セントラルキッチンを活用したコスト削減の可能性にも言及した。

1店1店で調理する大戸屋とは正反対で、合理化を徹底したコロワイド。ほかの多くの外食チェーン幹部も、「あまりにも社風が違う。一緒になってうまくやれるのか」と首をかしげる。だが、大戸屋ホールディングスの経営陣は、「まだ具体的な話はしていないものの、協業に向けて積極的に議論している」と前向きな姿勢だ。

人件費高騰と客離れのジレンマに悩む大戸屋ホールディングスの経営陣はどのような判断を下すのか。仮に統合するにせよ、大戸屋は店内調理が何よりの武器である以上、それを最大限生かした戦略こそ求められる。

佐々木 亮祐 東洋経済 記者

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ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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