航空券キャンセルで払った諸税が戻らない疑問 LCCでは払い戻しの手数料が高額な場合も

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実は、出国税に関しては払い戻しの規定が法律にはなく、旅客施設使用料に関しては各空港会社の約款によってエアライン各社に払い戻しが委任されている。

羽田空港の場合を示す「東京国際空港ターミナル旅客取扱施設利用料に関する約款」は以下のように定めている。

(払い戻し)
第 4 条 料金を支払った旅客が、東京国際空港からの出発を取りやめたとき、又は会社が必要と認めた場合の料金の払い戻しは、旅客が使用する予定であった航空券の払い戻し等の手続き時に航空会社等が払い戻す方法その他の方法によるものとします。

つまり、諸税払い戻しをどのようにするかはエアライン各社の運賃規則で自由に決められるのが実情なのだ。

諸税等払い戻しにおける問題点

出国税の返金問題については、早稲田夕季衆議院議員が質問主意書で政府の見解を問うている。

政府は、「格安航空券利用の出国取りやめ時における国際観光旅客税の払戻しに関する質問に対する答弁書」(令和元年六月四日)において、「航空券を購入した者が実際には出国しなかった場合には、同税に相当する金額は国庫に納付されることにはならない」、「このような場合の同税に相当する金額の取扱いについては、各航空会社により異なっており」政府は関与していないとの見解を示した。

日本航空などのフルサービスキャリアとは異なり、LCCでは諸税の払い戻し手数料が高額に設定されて場合があるため、実際に諸税が返還されないケースが出てくる。

今回、諸税の払い戻し手数料額の算出根拠について、ピーチに取材を行ったが、『個別の問い合わせには回答していません。なお国際観光旅客税ならびに旅客サービス施設使用料等につきまして、運送約款及び運賃規則に基づき適切に対応しています』というコメントだった。

しかし、消費者契約法は消費者の利益を一方的に害する条項等を無効としており、同法の解釈においてこの契約内容の有効性が問われる可能性がある。

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