航空券キャンセルで払った諸税が戻らない疑問 LCCでは払い戻しの手数料が高額な場合も
年末年始の休暇には旅行に出掛ける人も多いだろう。
LCC(ローコストキャリア・格安航空会社)の普及で国内旅行だけでなく、気軽に海外旅行を楽しむ事ができるようになった。訪日観光客の増加だけでなく、日本人の出国者数も2018年に過去最多を更新した(法務省「出国管理統計」)。
ご存じの方も多いが、航空券を購入するときには往復の航空運賃に加え、空港の施設利用料の支払いや海外旅行の場合は、出国税(2019年1月開始)も徴収されるようになっている。
しかし、航空券をキャンセルした場合、空港会社や国に納付されないにもかかわらず、こういった費用が返還されない場合がある。この点に問題意識を持ち、立教大学法学部消費者法ゼミ(細川幸一兼任講師)のゼミ生が調査を行った。
エアライン各社が代わりに集める施設利用料と出国税
航空券を購入したとき、料金内訳を見てみると航空運賃に加え、いくつかの付随費用も支払っていることがわかる。旅客施設使用料や出国税・海外各国空港税・燃油サーチャージなどだ。今回の記事では日本の旅客施設使用料と出国税の2つについて取り上げたい。
出国税という言葉にはあまりなじみがないかもしれないが、正式名称は国際観光旅客税。導入されたのは2019年1月だ。日本の観光先進国実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図るための恒久的な財源の確保のために創設された。船や航空機で出国する旅客に対して課税され、出国1回につき1000円が徴収される。
この出国税は旅客の代わりにエアライン各社などが徴収し、国に納付させる方法がとられている。航空運賃に出国税を上乗せした金額を乗客は支払い、それを後日、エアライン各社が国に納付している。ちなみに、税金ではないが旅客施設使用料も出国税と同様の方法でエアライン各社から空港会社などに納められている。
問題意識を持ったのは予約した航空券を自己都合でキャンセルした場合だ。
LCCなどでは格安で航空券が購入できるが、キャンセルしても返金がないか、高い手数料を取られ、返金額が少ない場合が多い。それはLCCが格安な航空券を提供するための条件として消費者も納得していると思われるが、本来であれば国に納める出国税や空港会社に支払う旅客施設使用料(以下、諸税等という)の払い戻しに高額の手数料が設定され、払い戻しされない場合があることに疑問を感じた。