朝日小学生新聞「謝罪」に見る日本に起きた変化

人種差別のとらえ方が変わってきている

しかし、朝日小学生新聞の謝罪はこうしたものとは一線を画していた。全国紙を抱える朝日新聞社のグループ企業が発行する同紙の謝罪は、誠実かつ共感的な姿勢で、こうした描写にある問題の性質についての完全な理解が反映されていた。

「ごめんなさい」にはこう書かれていた。「11月10日付1面の児童虐待防止を伝える『いやなことがあったら相談して』のイラストは、虐待する人の色調を全体的に暗くえがいたため、虐待する人と虐待される人の肌の色がちがう不適切な表現でした。心からおわびします」(原文ママ)。

【2019年12月13日16時05分追記】初出時、朝日小学生新聞にかかわる表記と問題記事の引用部分に正確ではない記述がありましたので、修正いたしました。

この謝罪文の言葉の使い方などから、新聞社にはバイレイシャル(「ハーフ」や「ミックス」と呼ばれる多文化のバックグラウンドを持つ人)、国際結婚をしている社員、また少なくとも海外在住経験のある社員がいることを読み取ることができた。また、当初この問題を指摘した翻訳家に対して、朝日小学生新聞は、今後は社内のチェック体制を強化するといった旨の謝罪をしている。

ANAの広告に「金髪、付け鼻」日本人

この対応は、まさにスタンディングオベーションに値するものであり、私が過去に読んだ批判に対する反応をはるかに超えた希望を与えてくれた。

過去にも日本企業はこうした過ちを繰り返してきた。例えば、2014年には全日本空輸(ANA)が、羽田空港からの国際線の増便を告知するための広告に、金髪のかつらと付け鼻を付け白人男性を装った俳優と芸人を採用するという、決して最善とは言えない決定をした。

広告には、「日本人のイメージを変えよう」といううたい文句が使われた。この残念な広告に対するSNSの反応は猛烈で、一連の事態はすぐに日本国外の主要なメディアによって取り上げられ、拡散された。広告のターゲットである日本人の多くには知られていないこの議論は、ANAの広告(とそのような広告に対して寛容な日本人)は人種差別的であるかどうか、という点を中心に展開された。

その後驚くべきことが起こる。ANAがすぐに謝罪し、「私たちの広告の意図は、日本人が世界でより積極的かつ不可欠になることを示すことでした」と述べたのだ。そして、広告は差し替えられた。

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