朝日小学生新聞「謝罪」に見る日本に起きた変化

人種差別のとらえ方が変わってきている

切符売り場での体験は明らかに人種差別的な行為であると考え、JR東海に宛てた手紙でも、「もちろん日本人が外国人に慣れていないことは認識している。しかし、外国人2人のうち、白人は尊厳と敬意を持って扱われ、黒人がぞんざいにあしらわれることは、至っておかしいと思う」とつづった。

JR東海には、この手紙を無視するか、あるいはこうした残念な誤解を招く出来事があって申し訳ない、という形だけの文で返答するという選択肢があった。しかし、同社はどちらでもない選択をした。

3日間の特別研修セミナーを開いた

JR東海は、該当地域の人事部長と事件が起きた駅の管理者の2人を、ヘイ松井教授が勤める名古屋市立大学に送り、正式に謝罪。同様の事象を繰り返さないことをルール化して確実に実行するという意図を伝えた。

さらに社員向けに3日間の特別研修セミナーを開き、教授から受け取った手紙をコピーし、該当地域の社員全員に配った、と教授に報告した。JR東海側の代表者は教授への質問を重ね、外国人の多くが日頃電車で耐えているさまざまな種類の体験も記録した。彼らは教授に、国内すべてのJRの駅に手紙を共有し、全国の研修にこの件に関する議論を含める方針を伝えた。

JR東海が長期的に取り組むかどうかは追証する必要があるが、企業がこうした措置を講じ、前例のない約束をしたことは、画期的で賞賛に値するのも事実である。

日本が「世界において積極的かつ不可欠な存在」になる過程のなかで、こうした事象は今後も間違いなく起こり続けるだろう。こうした中で、非日本人が外国人にどういうアイデアが受け入れられて、受け入れられないのか提案することはできるだろうが、本当に日本を変えることができるのは日本人だけだ。

意図してか、そうでないかにかかわらず、島国ならではの思考や態度について私たちはもっと語ると同時に、こうした言動をどういう場面ですべきか、あるいはしないべきかについて議論をする必要性がある。性別や人種、信仰、性的嗜好などにかかわらず、この国に住み、この国を愛し、その繁栄を望むすべての人が、この過程に参加できるようにしなければならない。

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