朝日小学生新聞「謝罪」に見る日本に起きた変化

人種差別のとらえ方が変わってきている

しかし、これを機に人種差別的な広告について対策がとられるようになったかは疑問だ。今年初め、日清はカップヌードルの広告で、テニス選手の大坂なおみ選手をアニメ上「ホワイトウォッシュ(白塗り)」にしたことで、世界的な怒りの標的となった。アニメになった大坂選手は、自然な肌の色と比べるとかなり明るく表現されていた。

一方で、一部の日本企業は、この種の疑わしい行為に対して、日本が単一民族であることや、島国であるといった陳腐な言い訳が受け入れられなくなっていることを、理解し始めている。こうした中、企業にとって重要なのは、自らの企業が標的となる前に、社会のグローバル化への対応に積極的に取り組むことである。

日本語で話しかけた黒人女性への対応

朝日やTBSといった大手企業のいくつかは、外国人観光客や移民、国際結婚、異人種間・多文化の中に生まれる子どもの増加や、LGBTQ問題などといった日本が現在直面している変化の過程を受け入れ、これに対する認識を高めようとしている。

例えばTBSは、「ブラックフェイス(黒塗り)」や「ホワイトウォッシュ」などの人種差別的描写は侮辱的であり、不必要であるという番組制作者や視聴者の認識を高める目的で、私をセミナーの講師として招待してくれた。そのセミナーはテレビでも放映された。行動は謝罪そのものより雄弁である。

JR東海による最近の行動もまさにそうだ。愛知県にある大学の教授であるアヴリル・ヘイ松井教授はある日、高蔵寺駅に行き、京都で開催されている会議に出席するために京都行きのチケットを購入した。しかし、その駅の切符売り場で起こったことは、なんら特別ではない日常的な活動を国際問題に変えてしまった。

残念ながら日本では珍しくないことだが、日本語が話せるかどうか、日本に住んでいるかどうかは関係なく、「見た目が外国人」に対して失礼な態度をとる人はいる。この切符売り場の駅員もそうだった。

この出来事の後、ヘイ松井教授はJR東海に宛てた手紙で、「私が存在していないような態度をとられた。身体をなくし、声だけが残っているようだった」と書いた。丁寧な日本語で話しかけた教授に対し、駅員は教授ではなく、教授と一緒にいた友人に向かって対応したのだった。

ちなみに、教授は黒人女性で、友人は白人女性である。

もしその友人が日本人だった場合、これはよくある「外人無視」のたぐいで、残念ながら多くの非日本人が経験しているものだ。だが、白人を特別扱いしたこの場面では、両方の顧客を当惑させ、憤慨させた。皮肉なことに教授はこのとき、「日本で異人と認識されることとそれによって起こりうる問題」について京都で語ることになっていた。

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