パリの高級不動産がここへ来て急騰している謎 それでもロンドンやニューヨークより割安?

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国際的な高級不動産仲介で世界屈指のBARNESインターナショナルのティボー・ドサンバンサン会長は「パリは現在、不動産分野に関してはブレグジットにおける勝ち組の筆頭だ」と述べた。

英不動産大手・ナイトフランクは、パリ不動産の上位5%の価格帯(プライム市場)が来年中にさらに5─7%値上がりすると予想している。

まだ割安?4年間で21%程度上昇

パリのプライム市場の価格は、1平方メートル当たり1万9000ユーロ。ロンドンの2万8000ユーロやニューヨークの2万7600ユーロと比べると、まだ手が出しやすい。それでもナイトフランクによると、パリの価格は15年第4・四半期の底値を21%上回っている。

また、英国以外にベルギーや北欧、中東などの買い手も、パリに関心を寄せつつある。ナイトフランクのアソシエートパートナーでロンドンを拠点にしているロビー・アリス氏は、以前なら海外投資家は他に目もくれずにロンドンを目指しただろうが、足元では突然立ち止まり、ブレグジットの問題やそれに伴ってパリの旗色が良くなっている点を考えていると解説。「彼らは他の安全な投資先も考える中で、パリこそが最も良い投資先とみなす。資産分散化の一環としてだ」と付け加えた。

対照的にロンドンの不動産価格は、今年に入って一時、約10年ぶりの急落に見舞われた。ブレグジットを巡る不透明感と、それがロンドンの国際金融センターとしての魅力を低下させている事態が響き、年間でも価格がマイナスとなるもようだ。

昨年には、BARNESインターナショナルが発表している世界で最も不動産需要の強い都市・トップ5からロンドンが脱落。香港、ニューヨーク、ロサンゼルス、トロント、パリの後塵を拝する結果になった。

BARNESインターナショナルのドサンバンサン氏は、米国の顧客の借り入れコストは4-7%なのに、フランスでは1%未満の固定金利で最長20年の借り入れができるとして、資金面でのパリの優位性も強調。パリの不動産市況が非常に活発な一方、ニューヨークやマイアミ、ロサンゼルスは停滞しているとの見方を示した。

ドレーク氏は、パリでさらなる物件購入を計画している。フランスの税金が伝統的に高い点を踏まえ、リスクがあるのはもとより承知の上だ。

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