製油所に終わりなき再編への圧力 経産省が「高度化法」第2弾策定へ
出席した有識者の間では、過剰供給が問題であり、是正すべきという方向では大方一致した。一方、縮小均衡だけでは業界の競争力は高まらず、ナフサの減産で石油化学業界への安定供給にも支障が出かねないとの懸念が示された。化学業界の労組代表からは、石油化学コンビナートの連携や輸出インフラ増強に対する国の戦略や支援策の必要性が指摘された。
委員長の橘川教授は、「目指す方向は正しいが、国が義務付きで誘導することに異論がある」と民間主導の重要性を強調。また、「輸出をどう見るかが大きな論議となる」と述べ、成長市場のアジアにおける需給バランスや輸出インフラを含めた日本企業の国際競争力を議論していく必要性を示した。
輸出強化は困難
余った原油処理能力を輸出の増強に充てられればいい。だが、日本の製油所は韓国の製油所に比べて「規模の経済」(原油処理能力の大きさ)で劣り、平均生産コストも高い。タンカーの規模やタンクの数など輸出インフラでも大きな格差がある。国際競争力の劣後のため、日本の輸出比率は1割強とアジア主要国の中でも相対的に低い(韓国は5割近く)。低硫黄のガソリン、軽油など品質の高さを生かせない状況だ。
また、日本の石油会社は海外の大手石油会社と比べ、利益率の高い石油・天然ガスの上流(開発)事業が弱い。
近年、日本企業の間でも、燃料油よりも付加価値の高い石油化学製品への生産シフトや、上流権益の取得、出光興産のベトナム・ニソン製油所計画のような海外事業拡大、コスモ石油と極東石油工業の千葉製油所での共同事業検討やJX日鉱日石エネルギーと出光興産の石油製品相互供給など生産性向上に向けた連携強化が活発化しているのは確か。
今後議論される新たな制度においては、重質油分解装置の装備率向上を通じた国家強制的な縮小均衡策にとどまらず、国際競争力強化の観点から民間主導の構造改革を後押しする環境整備が大きな論点となりそうだ。
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