再エネ比率20%には風力の大型開発が必要 経産省の村上敬亮・新エネルギー対策課長に聞く(下)
再生可能エネルギー(以下、再エネ)の全量固定価格買取制度(通称FIT)が2012年7月に導入されてから1年半。直近データでは、13年7月末までに設備認定を受けた再エネの容量は2360万キロワット(kw)、運転開始したものは408万kwとなった。FIT導入前に運転開始したのが2060万kwなので、すでにそれを上回る容量の設備が認定されたことになる。
ここまでのFITの評価と今後の課題などについて、政府の再エネ推進役である経済産業省資源エネルギー庁の村上敬亮・新エネルギー対策課長に聞いた(前編から続く)。
――再エネ普及へ向けた本質的課題として、送電線網への接続問題がある。
ミクロの問題とマクロの問題がある。ミクロの問題は、どの電線につなぐかだ。解決策は、買い取り価格の中に接続費用が含まれているので、買い取り価格をきっちりコントロールすることだ。こちらの場所なら500mで接続できるのに、接続に3㎞かかるあちらの場所がどうしてもいいと言って、コストを 3㎞のほうに合わせるわけにはいかない。コスト的に見合わないのなら、別の立地を探してもらうしかない。特定の立地にこだわれば、国民負担との間で利害相反を起こす。
マクロの問題はまた別だ。典型的なのが風力。北海道と東北地方の風況がよいため、立地が集中している。今、風力の設備導入量(運転開始したもの)は 約270万kwだが、1000万kwは風力で出さないと再エネの発電比率20%は達成できない。すべてを太陽光で賄おうとしたら、それこそ国民負担が問題になる。風力は大型開発すれば、発電コストは火力や原子力とそれほど変わらない。
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