「腹筋でお腹は凹む」と思う人の大いなる勘違い 有酸素運動から始め、骨盤の傾きも整えよう

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なぜ骨盤が後傾するのでしょうか。主な原因は下半身の筋力、もしくは柔軟性の低下にあります。座骨周辺からハムストリングスまでが硬くなると、骨盤が下方向に引っ張られます。引っ張られた骨盤は後ろに傾いていく。こうして下腹がたるみ、その上に皮下脂肪が乗ると、ぽっこりと出た下腹が出来上がってしまうのです。

では、どうするか。まず必要なのは、根本原因である骨盤の傾きを整えることです。崩れた土台の上でどんな工夫をしても、土台に問題があれば台無しになります。そして下腹がぽっこり出る方でいちばん問題なのは、筋肉量の減少です。下半身のような大筋群の筋肉量が減ると基礎代謝量が下がり、有酸素運動時の脂肪燃焼量も悪化してリバウンドもしやすくなります。

腹筋運動やプランクをすることは無意味ではないが

筋肉の量を維持することは、健康に生きるうえでとくに重要です。現代人の生活はどんどん便利になり体を動かさなくなってきています。5年後や10年後、さらに暮らしが便利になれば筋力低下も進むでしょう。その一方で食はどんどん豊かになります。昔はおいしいものを食べようとしたら外出が必要でしたが、今は家にいても届く。それだけでも体を動かす機会がどんどん減っていると強く感じます。

『世界一効く体幹トレーニング』(サンマーク出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

誤解のないよう申し上げておきますが、腹筋運動やプランクをすることは無意味ということではありません。拙著でも解説していますが、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群、横隔膜で構成される「インナーユニット」をうまく使いながらであれば、腹筋運動やプランクは数多くのメリットを得られます。

例えば、素早く動き強いパワーを発揮する、ケガなく長時間動き続けるといったスポーツパフォーマンスの向上だけでなく、腰痛の予防・緩和や姿勢改善にも大いに役立ちます。「インナーユニット」を遣えていない腹筋運動やプランクは「お腹をへこます」という目的には合っていない、というだけです。

どんなトレーニングにも向き・不向きはあるので、それを踏まえて何がご自身の目標達成にベストかを調べたり考えたりして実践することが重要です。

中野 ジェームズ 修一 フィジカルトレーナー

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なかの じぇーむず しゅういち / Shuichi James Nakano

1971年生まれ。フィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士。アディダス契約アドバイザリー。日本では数少ない、メンタルとフィジカルの両面を指導できるスポーツトレーナー。トップアスリートや一般の個人契約者の、やる気を高めながら肉体改造を行うパーソナルトレーナーとして数多くのクライアントを持つ。現在は大学駅伝チームのトレーナーも務めつつ、講演会なども全国で精力的に行っている。 おもな著書に、『下半身に筋肉をつけると「太らない」「疲れない」』(だいわ文庫)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)、などがある。株式会社スポーツモチベーション

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