インフル「耐性」を極度に恐れる必要はない理由

1回服用で済む薬「ゾフルーザ」への期待と懸念

警戒はもちろん必要ですが、冷静な議論も求められています(写真:topic_kong/PIXTA)

12月に入り、寒さが増してきた。この季節、警戒したいのがインフルエンザだ。重篤な感染症であり、乳幼児や高齢者がかかると、時に命を落とすこともある。

「ゾフルーザ」の耐性化が大きなニュースに

幸いなことに、インフルエンザには治療薬がある。代表例がタミフル。そして昨年、塩野義製薬が開発した「ゾフルーザ」が発売された。効果はタミフルとほぼ同等だが、内服が1回だけでいいというのが大きな特徴だ。1日2回5日間の内服が必要なタミフルと比べると、はるかに便利だ。発売初年の2018年度には、予想の2倍にあたる263億円を売り上げた。

最近、ゾフルーザに関する興味深い研究成果が公表された。11月25日に東京大学医科学研究所の河岡義裕教授たちが『ネイチャー・バイオテクノロジー』に発表した論文だ。この研究では、ゾフルーザが投与された38人の患者を対象に投与前後でタミフル耐性遺伝子の有無を調べた。

結果は衝撃的だった。服用前に耐性ウイルスを検出された患者はいなかったが、服用後のサンプルでは9人から検出されたのだ。とくに小児では耐性化の頻度が高かった。15歳以下では27人中8人だ。16歳以上の11人中1人を大きく上回る。小児ではたった1錠投与で約3割の患者で耐性化したことになる。

さらに、この38人には含まれないが、ゾフルーザを服用していない2人の患者からも耐性ウイルスが検出された。1人は1週間前に家族がインフルエンザにかかり、ゾフルーザを内服していた。耐性ウイルスが家族内で拡まった可能性が高い。ゾフルーザは容易に耐性化する。濫用すれば、せっかくの新薬が効かなくなってしまいそうだ。

実は、このことは治験の段階から指摘されていた。2018年9月にアメリカの医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に掲載された第3相試験の結果では、耐性化率は9.7%だった。河岡教授たちの報告は、先行研究とも一致する。

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