いきなり!ステーキ、急失速に見た積極出店の罠 マイナス続く既存店売上高、見えない打開策
肉ブームといきなり!ステーキの好調を背景に、類似業態の出店も増加した。肉業態の中でもステーキ店だけでなく1人焼き肉店などジャンルを変えた店舗も増えており、社内競合と社外の両方で競争は激化する一方だ。
2019年半ばからは出店にブレーキを踏んだものの落ち込みが止まらないのには、顧客の飽きもある。「いきなり!ステーキは回転寿司のように文化になる」と自信を持っていた一瀬社長だが、現在は社内で「2017年と比べて飽きられる、忘れられるのも少なからずある」と話しているという。
値引きキャンペーンを濫発
会社側も手をこまぬいているわけではない。近年は値引きなどキャンペーンを立て続けに実施。2018年9月に300店達成記念、同年10月にナスダック上場記念、2019年2月に400店達成記念、同年3月にも値引きを行った。
2019年8月には「肉マネー」と呼ばれるいきなり!ステーキで使える通常還元率1~3%の電子マネーでキャンペーンを実施、10倍のチャージボーナスが付き還元率は10~30%にものぼった。その後も9月にお客様感謝祭、11月にもメニュー改定記念や6周年記念と銘打った値引きをしている。
しかしこれらの施策は月次動向や業績を見る限り、効果を見せていない。むしろキャンペーンの連発によって、2018年には57.1%だった原価率が2019年1~9月には58.9%まで上昇(いずれも全社ベース)。原価率だけでなく店舗数増加による従業員数の増加を受け、2019年1~9月の増収額は前年同期比で68億円にもかかわらず、同期間の販管費は前年同期比で44億円も増加した。
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