過去より幸せになる「大人の再婚」密かな醍醐味

若い頃には想像もしなかった選択がある

幹事をしてくれた同僚がccで全員宛にメールをしてくれて、恒夫さんからは個別で千里さんに連絡が来た。「可能であれば、今度2人で食事に行きましょう」と。千里さんの好意が伝わったのかもしれない。

「次のデートが終わった後で、私は彼をすごく気に入っていることを伝えましたし、彼のほうからは『1日中あなたのことを考えています。恋をした高校生みたいに』なんていうメールをもらいました」

2回目のデートのときには交際することを確かめ合った。大人同士だからこそ意思決定は早いのだ。ただし、お互いに結婚は前提としていなかった。恒夫さんも離婚歴があり、前妻が引き取った子どもはすでに成人している。飲み仲間は欲しいけれど気ままな独身生活を謳歌しており、結婚の必要性を感じていないようだ。千里さんにも「結婚はもういい」という気分があった。

「親を大切にできる人でよかった」

そんな2人に変化が訪れたのは付き合い始めて1年後のこと。恒夫さんの母親の認知症が進行して一人暮らしが難しくなり、恒夫さんと一緒に住むことになったのだ。恒夫さんは別れを切り出した。「この歳になって母親と同居している男なんて嫌やろ? ふってくれていいよ」と。千里さんはむしろ絆が強まるのを感じた。

「親を大切にできる人でよかった、と思いました。私の母もその頃は生きていたので、もし逆の立場で『お前の親なんて知らん』と言われていたらつらかったでしょう。義母が脳梗塞で倒れたことをきっかけにして籍を入れることにしました。お世話をするには私の手がどうしても必要だと思ったからです」

ただし、住居は奈良と大阪で別々だった。千里さんの次男はまだ高校生で、勤め先での仕事もすぐに放り投げるわけにはいかなかったからだ。2年間ほど別居婚を続けた後、今年の頭にようやく会社を辞めて同居することができた。息子たちは母親の再婚にどんな反応を示したのだろうか。

「長男からは反対されました。『結婚なんかしなくていい』と。でも、『あなたが自立したら私は一人になるんだよ。わかってる?』と諭したら、『ああ、そうか』と納得してくれたようです。次男のほうはドライなので、『いいんちゃう。好きにしたら』と言われました。

夫と子どもたちはすごく仲良しというわけではありません。世帯も別ですし。でも、子どもたちは彼がいい人だとはわかっているようです。夫のほうも、子どもの祝い事にはいろいろ買ってくれています」

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