過去より幸せになる「大人の再婚」密かな醍醐味 若い頃には想像もしなかった選択がある

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前夫の裕介さん(仮名)は2歳上。奈良県の中でも「田舎のほう」に実家があり、結婚後は義父母が建ててくれた2世帯住宅に住むことになった。

「私は大阪の街の中で育ったのですごい田舎に来ちゃったと思いましたね。でも、住めば都だと覚悟して子育てに専念していました。夫(裕介さん)も子どもはかわいがっていましたが、趣味が多い人で夜中に釣りに出かけたりするんです。私は小さな子どもを2人も抱えて、彼の地元の田舎で何をすればいいというのでしょうか。文句を言うと、『オレは趣味もできないのか』と嫌味で返されました」

千里さんが30歳になった頃、裕介さんの財布からコンドームが出てきた。千里さんとはセックスレスの関係が続いていて、なぜ避妊具が必要なのかがわからない。彼のカバンを探ったところ、会社の後輩女性からもらったラブレターを「後生大事に」持っていた。

「手紙の中には、私と別れて彼女と一緒になりたいという文面もありました。悲しいというよりも、『許せない。こんなに田舎で義父母と半分同居の生活をしているのに』という怒りの気持ちが強かったです。セックスレスは私なりに悩んでいたのですが、その原因が浮気だったとは……。今から考えると私では満たされない何かがあったのかもしれません。それを知ろうとしないまま、ひたすら腹を立てていました」

関係の修復は不可能となり、結婚10周年を迎えた頃に離婚することになった。義母からは「世間体が悪いので近所には住むな」と心ないことを言われたが、親の都合で子どもたちを転校させたくない。名字も変えずに学区で住み続けることにした。

会社の先輩だった今の夫、恒夫さんとの出会い

裕介さんからは毎月の養育費が送られてくる。しかし、パートでは親子3人が生活していくのは難しい。千里さんは「とにかく潰れない会社」という視点で仕事を選び、大手部品メーカーで派遣社員として働き始め、すぐに正社員になることができた。

「それでも経済的には大変でしたが、ほかの部分は保護者仲間などの友だちに支えてもらったと思っています」

結婚ではなく恋愛はもう1回したいと思っていた千里さん。仕事と家事の合間を縫って、男性と食事に出かけたこともある。でも、楽しいと思える相手とは巡り合えなかった。

恒夫さんは会社の先輩にあたる。ただし、社員数が1万人を超える大企業なので、彼が東京から大阪の拠点に転勤になるまでは面識がなかった。千里さんの同僚が関西に友人がいない恒夫さんのために飲み会を企画。千里さんは女性参加者3人の中の1人だった。

「本当は別の女性を恒夫さんに紹介することが目的だったみたいです。でも、私が一目で彼をすごく気に入ってしまいました。何がいいのかうまく言えませんが、人相がいいんです。男前というよりも、まんまるでホッコリ系。いいキャラをしています。私は優しい顔の人が好きなんです」

次ページ千里さんの好意が伝わったのか…
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