2億円が目安とされるサラリーマンの生涯給料。2018年の「民間給与実態統計調査」(国税庁)によると、正規社員の平均給与が503万円なので、単純計算でその約40年分が生涯給料とすればあながち外れてはいないだろう。
一方で、そうした平均とはかけ離れた給料を生涯で手にする者もいる。東洋経済オンラインでは、新卒で入社して定年まで働いたときに取得できる総額である「生涯給料」のランキングを作成。全上場企業を全国7地域(北海道・東北、東京除く関東、東京、中部、近畿、中国四国、九州沖縄)に分けてまとめた。
これまで「東京都トップ500社」・「東京都ワースト500社」・「東京除く関東320社」・「中部381社」を紹介してきたが、第5弾として「近畿」に本社を置く会社のランキングをお届けしよう。集計の対象としたのは、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、三重県の各府県に本社を置く企業588社。単体の従業員数が20人に満たない場合や、平均賃金の発表がない企業は除いている。
各社直近の有価証券報告書の公開データと、厚生労働省が調査・公表している「平成30年賃金構造基本統計調査」の5歳刻み賃金額(所定内給与+賞与)から業種分類ごとに賃金カーブを算出し、それを各企業の平均年収と年齢に当てはめて試算した。あくまで理論的に割り出した推計値ながら、一定の目安となるはずだ。
グループ企業については、全体で連結ベースの年収を算出するのがベストだが、基本データとして使用している有価証券報告書のデータが単体会社のものであるため、単体の年収数字となっている。本社の中枢機能を担う社員しかいないケースが多く、年収が製造現場などの実態より上振れる傾向にある純粋持ち株会社も一部除いている。
1位のキーエンスは今年も推計8億円超
1位は大阪に本社を置くキーエンスの推計8億6057万円(前年は8億3636万円)。2位・伊藤忠商事の推計5億5349万円(前年5億3362万円)を大きく引き離す断トツの1位。全国的にも知られる高給企業で、FAセンサーが主力のメーカーだ。平均年収も2110万円(平均年齢35.8歳)と全国トップクラスである。
上位には医薬系や不動産、商社業界の企業が目立つ。近畿圏の中心部である大阪府に本社を置く企業が多く、トップ14までを大阪府に本社を置く企業がランクイン。15位に京都府の任天堂(推計3億3350万円)が入った。
また、伊藤忠商事のように登記上の本社を大阪に置きつつも東京をメインに事業活動を行っている会社も少なくない。588社の生涯給料を単純平均すると推計2億2238万円。東京の2億3525万円よりも若干落ちる結果となった。また、生涯給料が3億円を超す企業は33社と近畿全体の5.6%となった。
ランキング下位企業の中には、平均年齢が極端に高くなっているケースなど、会社によっては専門職や定年後の再雇用社員などを集計対象に含み、平均年収や平均年齢との関係から、推計値といわゆる正社員の実態との乖離がある場合もありうる点には注意いただきたい。