「外国人のホームステイ」で失敗する家庭の特徴 母は倒れ、祖母はイライラ…

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言葉や文化、生活習慣が違う外国人を受け入れることは決して簡単なことではありませんが、一方で受け入れることによるメリットも少なくありません。1つは、英語やそのほかの言語でコミュニケーションをする絶好のチャンスとなることです。関東に在住の、小学5年生の娘と小学2年生の息子のいる家庭での話です。

娘は、学校や英語教室で習った英語を使って家にやって来るアメリカ人女子大生と話すことを楽しみにしていました。けれどもアメリカ人が実際に話す英語は、学校で習ったあいさつと違ったり、発音が違ったり、早くて聞き取れなかったり。

それでも彼女はめげずに、「もう1回言って!」とお願いして、留学生の英語を聞きなおしました。その結果、彼女は「How are you?のあとは、I’m fine thank youだけじゃないんだね」「Thank youってよく言うよね」「おいしいは、I like itって言うんだね」などと、多くの英語を学びました。

言葉以外でもコミュニケーションはできる

彼女はネイティブスピーカーと個人的な会話をするのは初めてでしたが、やさしいアメリカ人のお姉さんが何を言っているのか知りたい、伝えたいという気持ちが強く、結果として多くの英語を吸収しました。普段自分が生活する環境ですから、相手に多くのことを教える立場にあった分、英語を話したり、聞いたりがしやすかったのです。たとえ単語がわからなくても状況から判断してその英語を理解することも多く、ときどき「何々って言ってるよ」と両親に教えることもありました。

コミュニケーションは言葉でなければできないわけではなく、表情やボディランゲージが十分に使えることも知っておくといいでしょう。あるときヘアードライヤーの置き場所を教えたかった母親が、言葉に詰まっていたとき、息子が留学生の手を引っ張って洗面所に連れていき、下の扉を開いて指差しで教えました。母親は「ああ、それでよかったのよね」と、ジェスチャーや態度でコミュニケーションは十分にとれるのだと理解しました。

この家族は、受け入れによって自然と協力することが多くなりました。そして、お互いの意外な一面が見えて、子どもたちは「お父さん、お母さんすごいな」と尊敬したり、親は「うちの子どもはなかなかやるな」と感心してみたり、日常とはちょっと違った環境を家族で経験することによって、いい思い出になりました。

もう1つ、外国人を受け入れることによるメリットは、普段意識していない日本の習慣や文化について、考えるきっかけになることです。外国人を受け入れた人からもよく、日本について聞かれた質問に答えられなかったという話を聞きます。

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