お金の無料相談は人生設計を破綻させかねない 正しい「相談先」と「運用商品」を選ぶには?

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しかし、最近、嬉しい変化も起こっています。「お金を支払って、きちんとしたコンサルティングを受けることが、結果的に自分の資産を合理的に増やすことにつながる」と言って、筆者を訪ねて来る方が増えてきたのです。会社員の杉下英介さん(仮名・31歳)もそんな1人です。子どもが生まれたのを機に、資産形成をしていきたいとご相談に来られました。

合理的な資産形成をするために必要なのは「自分の必要貯蓄率を求め、税制優遇の大きい口座を優先的に使い、手数料の低い商品で、長期分散投資をすること」です。杉下さんのライフプランや希望をヒアリングしたうえで、「お金の人生設計」をスタートしました。

簡単な計算式で今後の「必要貯蓄率」をはじき出す

「お金の人生設計」は5つのステップで行います。

 ステップ1.「人生設計の基本公式」を使って「必要貯蓄率」を求める
 ステップ2. 自分がどのくらいリスク商品を持てるのか金額で考える
 ステップ3. お金の置き場所をつくる
 ステップ4. 資産全体で資産配分(アセットアロケーション)を決める
 ステップ5. 商品を選択する

まず、ステップ1ですが、今後自分がいくら貯めなければならないのかは、わざわざFPにライフプラン表を作ってもらわなくても「人生設計の基本公式」を使えば、自分で求められます。ライフプランに変更があったり、大きなお金の出入りがあったりしても、何度でも簡単に計算し直すことができます。「人生設計の基本公式」はこの連載で何度も紹介していますが、それは何?という方は、こちらの動画をご覧ください。

杉下さんは、夫婦ともに正社員として働いていますので、2人の収入を合算して必要貯蓄率(S)を出します。こちらの計算ツールを使うと簡単に求められるので、皆さんも自分の必要貯蓄率(S)を求めてみてください。

 杉下英介さん(31) 莉子さん(31)夫婦の6つの数字
・手取り年収(Y):800万円
・老後生活費率(X):60%
・現在資産額(A):-200万円(貯蓄は600万円ありますが、子供の教育費を800万円と想定)
・年金額の手取り額(P):280万円
・現役年数(a):34年
・老後年数(b):35年(100歳まで生きると想定)

杉下さん夫婦の必要貯蓄率(S)は、約16%でした。今後、手取り年収の16%を貯蓄(預貯金だけでなく運用も含む)していけば、たとえ100歳まで長生きしたとしても、老後は毎月約33万円を生活費とすることができます。

この必要貯蓄率16%は、今後、もう1人子どもが生まれるなどすれば、計算をし直します。また、毎月いくら貯蓄するのかは、現在の手取り年収にこの16%をかけて12月で割って求めますので、手取りが増えれば貯蓄額も上がるし、下がれば少なくなります。

自分の年金額がわからないという人はサイトで紹介している簡易計算式や、『人生にお金はいくら必要か 増補改訂版』(山崎元氏と共著)には年収と被保険者期間を対応させて年金額がわかる早見表があるので参考にしてください。

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