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「できる人が辞めていく会社」のダメすぎる実態 やる気を持続できる企業はココでわかる!

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  • 山元 浩二 日本人事経営研究室 代表取締役
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1年が過ぎ、田中さんは新しい仕事にも慣れ、必要なスキルもマスターしながら部門のマネジャーからはすでに頼りにされる存在になっていました。そして、評価時期、その会社では自己評価を上司に提出し、直属のマネジャーと営業部門長の2人で上司評価を行うという仕組みでした。

もちろん、フィードバックの面談もあるのですが、その前に上司2人が評価結果のすり合わせをし、田中さんの実績や今後の課題をあらかじめ把握し、面談の手順も話し合ったうえで面談が行われました。とくにマネジャーは、田中さんに対する面談のストーリーを事前に決めて面談に臨んでいるようで、手元のメモを見ながら話しています。タイミングを見ながら田中さんに意見を求めたり、納得度を確認しながら評価結果を伝えられました。

そして、田中さんが驚いたのは、評価を伝えただけではなくその結果を踏まえた次の半期に取り組むべき課題や役割が明らかになったということでした。しかも、その課題をチャレンジシートというシートに記入、マネジャーに提出し、そこから毎月面談を行いながら田中さんの課題への取り組み状況の確認とアドバイスがもらえるという仕組みまで整っていたのです。

これからの企業に求められていること

田中さんは自宅に帰ると、奥さんにも自分の評価結果と経営計画を見せながら会社の将来性を力説しました。その結果、家族も会社に対する理解と協力、応援までもらえるようになりました。

田中さんは、さらに1年後には自分自身が評価者、すなわちマネジャーとなって組織成長の原動力となって、家族や地域に貢献していこうと決意を新たにしています。

ここまでの話は、実際私が人材育成のコンサルタントとして体験した実例です。

会社がどこに向かっていくかを「経営計画」として具体的に示し、「人事評価制度」に落とし込み、「経営計画」を実現できる人材づくりを推進していく「ビジョン実現型人事評価制度」という仕組みを500社以上に導入してきました。

昨今、働き方改革が叫ばれていますが、残業の削減や休暇の取得など、ルールにしばられた改革を優先している企業が大半だと実感しています。これと並行して、業績を維持しようとすると生産性の向上が必須となり、その対策に躍起になっていますが、大きな成果があがったという事例はあまり聞こえてきません。

私は、本稿でご紹介したような社員一人ひとりを大事にし、個人の将来も一緒に考え、そこに向けた成長支援をしていくことが企業に求められていると考えています。会社が業績を伸ばすことが社員の人生を豊かにすることにつながる仕組みを整えるほうが、最終的には大きく生産性を向上させることができるというのが、私自身の体験から得た結論です。

こうしたことから、

・経営計画が明確に示されているか
・人事評価制度を通じて前述したような人材育成を行っているかどうか
・それらによって自分の5年後、10年後のキャリアが描けるかどうか

これらが長く安心して働けるかどうかを見極めるポイントだといえるでしょう。

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