「ペット飼う高齢者」が直面する厄介すぎる問題 家が「ゴミ屋敷」「死体だらけ」になる危険も
「1人暮らしの母親が入院することになり、猫の世話ができなくなった。自分は別居しており、猫を引き取ることはできない。なんとかしてほしい」
そんなSOSの電話が動物愛護団体にかかってくることがある。聞けば、不妊手術をしておらず、猫が何匹もいるという。殺処分はしたくないが、自分で飼うこともできないと訴える。週に2〜3日、餌やりをしに来ているが、長い間、猫の世話が満足にできなかったせいか、家の中はゴミ屋敷状態だった。
このケースでは、ボランティアと行政が協力して猫に不妊手術を行い、里親を探すことで殺処分を免れることができた。
人間だけじゃなくペットも長寿に
昔と違って、今は犬も猫も人間と同様、長生きになっている。犬の平均寿命は14.29 歳、猫の平均寿命は15.32歳である(2018年全国犬猫飼育実態調査・ペットフード協会)。猫に至っては20歳を超えて長生きする例もある。
もし60代で子犬や子猫を飼い始めたとしたら、犬も猫も飼い主が70代後半まで生きることになる。それまで元気でいられればいいが、先のことはわからない。病気になって入院したり、介護施設に入居することにでもなったら、ペットの世話はどうすればいいのだろう。
東京都に住んでいる二村キヌヨさん(82歳)は大の猫好き。自宅で猫を飼うだけでなく、近所で見かけた野良猫の世話をするボランティアでもある。世話といっても、ただ単に餌をやるだけではない。地域にこれ以上、野良猫が増えないよう猫を捕獲し、不妊手術を行うTNR活動(Trap捕獲して/Neuter不妊手術をし/Return元の場所に戻す)を地域の動物愛護団体とともに行ってきた。
「近隣の自治体のなかにはTNR活動に助成金を出すところもあるんですよ。でも、私が住んでいるところでは行われていない。そういう話もあるにはあったようですが、一部の住民から猫のために税金を使うのかと批判があって立ち消えになってしまったんですよね。それで、しかたなく自腹を切って手術費用を出していました」
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