京大卒33歳の彼が月収14万円生活の先に見る夢

コンビニバイト続け、「絶望や苦悩」とは無縁

ニーチェやセネカ、荘子など超絶難解な書籍ばかりを読み続け、印象に残った言葉や、肝となるロジックを大学ノートにまとめている(筆者撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは「当方、京大卒にてコンビニアルバイトとして生計を立てています。果たして『貧困』はそれ自体で『悪い』ことなのか、ということについて語り合うことができたらうれしく思います」と編集部にメールをくれた、33歳の男性だ。

まるで取材されているようなやり取り

「連載記事に対する、ネット上のコメントは読まれているんですか?」

シンスケさん(仮名、33歳)への取材は、彼からのこんな質問で始まった。西日本のある地方都市の公務員家庭で育ったシンスケさんは、地元の公立進学校を経て京大法学部を卒業。東京でお笑い芸人を目指した後、現在はコンビニでアルバイトをしながら生計を立てている。

シンスケさんとの対話を少し振り返ってみる。

シンスケさん:「私のほうが大変なのに、甘えている」「お金がないなら、東京の私大ではなく、地元の公立大に行けばいいのに」「こいつが選択を間違えただけ」とか――。コメントは、記事に出てくる人に対するバッシングがほとんどです。記事や見出しで、貧困の“苦悩”とか、“絶望”とか書きすぎなんじゃないでしょうか。

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筆者:記事がバッシングを誘発していると? ただ、極端な自己責任論は不毛だし、「私のほうが大変」という人は、“不幸比べ”なんてしてないで、その憤りを政治や制度に向ければいいのにと思います。

シンスケさん:「筆者はなんでも社会や制度のせいしている」という批判もあります。

筆者:私は、個人の責任がまったくないとは思っていません。でも、それは家族の間で話せばいいこと。一方で、貧困の背景には、女性の平均所得の低さや機会の不平等、ブラック企業の増加など、社会や政治が解決すべき問題もあります。記者の仕事は基本的に個人の責任を追及することではなく、構造的な問題を浮き彫りにすることだと思っています。

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