「結婚する派・しない派」のあまりに強烈な分断 正しさという名の下での「分断と対立」の構造

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残念ながら、明治から昭和にかけて実現した皆婚時代に戻ることはもうないでしょう。しかし、誰も結婚しない独身者だらけの国になってしまうこともないのです。

結婚が存続するのか、なくなるのか、2つに1つではありません。白か黒ではないし、正しいか正しくないかでもありません。古いものがありつつ、そこに新しいうねりが順次生まれていくのです。

現行の結婚制度が時代や人々の価値観に合っていないと感じる人もいます。事実婚、別居婚、同性婚など結婚のカタチが多様化していくことは、従来の「結婚とはこういうものだ」という画一性が消滅していくということでもあります。

コミュニティの構造が変わる

拙著『結婚滅亡  「オワ婚」時代のしあわせのカタチ』において、まさに結婚派と独身派の不毛な対立から抜け出す視点について書きました。これからは人の生き方の構造が変わります。それはコミュニティの構造が変わるということです。

安心な居場所としての家族コミュニティも、所属だけにとらわれず広く接続していくことが必要です。結婚しようと、独身であろうと、たとえ所属するコミュニティが違っていても、「接続する」ことで互いに協力しあえる部分があるはずです。

一人暮らしのソロ生活者だけが社会的孤立リスクがあるわけではありません。結婚しても、家族も同じリスクを抱えています。「頼れるのは家族だけ」と家族を家族だけの自己責任に追い込むべきではありません。

血縁や地縁がかつての互助共同体として機能したように、家族は、守るべき自分の家族のためにも、「接続するコミュニティ」の充実化が必要です。頼る相手は肉親だけじゃなくても、同居していなくても、ネット上でしかつながっていない相手でもいいのです。

『結婚滅亡  「オワ婚時代」のしあわせのカタチ』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

人をたたくことで安心を得るのではなく、人とつながりあうことで安心を得る社会へ。

「少子高齢化で社会が破綻」は大いなる誤解だ』でもご説明したとおり、15~64歳の生産年齢人口依存で見ると現役世代の負担が大きくなるように見えますが、年齢に関係なく「働く人が何らかの事情で働けない人を支える」という視点の有業人口依存指数でみれば、1人の働く人が1人の子どもや高齢者を支えればいいのです。

人口の半分がソロとなる時代は確実にやってきます。家族とソロは半々になるのです。結婚や子どもの有無は関係なく、あなたが働けば、あなただけじゃなく、誰かもう1人を支えられると皆が信じられる社会。自分のために働いたり、消費したりすれば、結果として、誰かのために役立つ循環性のある社会。私が言い続けている「人とつながる社会である」というのは、そういう社会であってほしいと思います。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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