アマゾンを圧倒的に成長させた14カ条の大原則 ジェフ・ベゾスが株主に宛てた手紙から見えた
さらに言えば、事業の拠点がシリコンバレーでも、テネシー州ナッシュビルでも、ロンドンでも、アイオワ州デモインでも、おそらく日本でも、変わらずこの原則は使える。テクノロジー系の会社にも、ピザ店にも、NPOにも簡単に応用できる。
1通目のレターにすべてがある!?
ジェフ・ベゾスが株主へのレターを最初に書いたのは、1997年だ。このレターこそがアマゾンにとっての「1日目」であり、起業時の興奮や、顧客に対して期待を超えるサービスを全力で提供するという声明や、スタートアップの燃料に火をつけるような最新サービスに関する情報が盛り込まれている。
だが、面白いのはここからだ。翌年、1998年版レターを書いたベゾスは、レターの最後にまた1997年版レターをつけたのだ。1999年版レターにも、最初の1997年版レターをつけた。翌年も、またその翌年も、毎年、レターの最後には欠かさず1997年版レターが添付されている。
そのうち、レターの最後にも同じ内容の文言が入るようになり、それも簡略化されていった。
「例年と同じく、最初の1997年版レターの写しを添付します。毎日が1日目だからです」
これはいったいどういうことなのだろう。
これまでのアマゾンの成長に欠かせないのが、一定のサイクルと14の原則だとわかってから、私はレターに戻ってもう1度詳しく検証してみた。すると、文言は異なっていたものの、成長への14カ条すべてが1通目である1997年版レターに書かれていたのだ。これが、ベゾスが1通目のレターを後年になっても載せ続けている理由の1つではないかと、私は考えている。
このように、アマゾンが急拡大した成長原則を知って、自分の仕事や組織に応用できるものを見つけて、そして実際に組織を育ててアマゾンのような市場リーダーにする。そのためのヒントがぎっしり詰まっているのがベゾス・レターなのだ。
とはいえ、残念ながら、21年分のレターすべてを読む時間のある人はそういないだろう(とはいえ、可能ならすべて読むことを強くお勧めする。極めて含蓄のある内容だからだ)。しかし、できれば1通目である1997年版レターと最新のレターだけでも、機会があれば目を通してみることをぜひお勧めしたい。
アマゾンは「完璧な会社」だろうか。そんなことはない。ジェフ・ベゾスは「完璧な人間」だろうか。そんなことはない。アマゾンを好きな人も嫌いな人もいるだろう。ジェフ・ベゾスのことが好きな人も嫌いな人もいるだろう。アマゾンやベゾスに対してどのような感情を持っていようが、問題ない。
ただ、いったんアマゾンやベゾスへの感情はおいて、地上10キロメートルくらいの高さから俯瞰してみてはいかがだろうか。そうすれば、世界一速く売り上げ1000億ドルに達するという歴史上に残る偉業を成し遂げるまでに、ベゾス(とアマゾン)が何をしてきたかが見えてくるかもしれない。
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