7年ぶりに部屋から出た僕に「母が呟いた一言」 25歳になっていた息子の姿に母は…

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母は変わり果てた僕を見ても、まったく動じなかった。7年間、一言も話してないのに、つい昨日会話したばかりのような対応で、それがなんだか、うれしかった。

「これから何がしたい?」と母が言った。「とりあえず痩せたい」僕は答えた。

25歳当時の瀧本さん。ひきこもり以前より約40kg太ってしまったという(写真:不登校新聞)

それからしばらくは真夜中に母と散歩をするのが日課になった。他人に見られたくなくて、深夜なのにサングラスをかけた。ボクシングの亀田兄弟が愛用していたサウナスーツを着て、脂肪を燃焼させた。

7年ぶりの散歩。5分歩くだけで、足に痛みが走った。仮に体重が100kgになっていたとしたら、以前より40kgも重い。疲れるのは当たり前。

普通に歩くことが高地トレーニングと変わらなかった。しかし、しんどかったが僕はダイエットを続けた。

効果はみるみる表れた。数カ月で体重は80kg後半になった。それ以降は緩やかなペースで体重が下がっていった。

僕のダイエットのコツは、ストレスをためないことだ。リバウンドをしないでダイエットに成功した人を研究したら、ダイエットの過程そのものを心から楽しんでいることを発見した。

「そうか、僕も楽しめばいいんだ」。

食べないことがストレスになるくらいなら食べることを選択する。無理をすると、反動でドカ食いすることになるからだ。

そうして、ストレスをためないでダイエットし続けた結果、1年間で30kg以上の減量に成功した。

空白はあるけどいいこともある

もちろん、ダイエットに成功したからといって、人生を新しくやり直せるわけではない。

アルバイトの面接官に7年間ひきこもったことを正直に打ち明けると、顔を合わせてもくれずに落とされた。履歴書には7年分もの取り戻せない空白期間もある。

しかし、いいことだってある。ダイエットの体験談は万能だ。誰に話しても鉄板のネタになる。僕はひきこもっていた頃の写真を手に、ひきこもりの家族会や当事者の会を回った。

写真を見せながら「1人ビフォーアフター」話をすると、「この人面白い」と思ってくれる人が何人か現れ始めた。

今ではそうしたつながりから、ライターやカウンセリング、講演活動などの依頼をいただき、暮らしている。

今になって思えば、僕にとってダイエットは、社会に戻るためのリハビリだったんだと思う。

(ひきこもり経験者・瀧本裕喜さん 39歳)

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日本で唯一の不登校専門紙です。不登校新聞の特徴は、不登校・ひきこもり本人の声が充実していることです。これまで1000人以上の、不登校・ひきこもりの当事者・経験者が登場しました。

また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

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