「地方の古い戸建て」買い取る企業の儲けの秘訣 カチタスの登場で深刻化する空き家は減るか

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現在の同社のビジネスモデルを図式化したのが、下図だ。現在は、地方の事業を「カチタス」が担い、都市部の事業を「リプライス」が担う、地域分けをしている。それぞれ地元のネットワークを構築する一方、買い取った家の再生化を行っている。

(出所)カチタス「2020年3月期第1四半期決算説明資料」

改修費用は大きく分けると交換する設備機器や建材の費用と工務店への手間賃に分かれる。資材関係は資材メーカーに大量発注することで、工務店への手間賃は安定した工事の発注をすることで抑制している。

加えて、改修範囲を決める際に、使えるものはできるだけ残して使うようにしている。とはいえ、買い手のニーズを考慮して、外構でいえば駐車場の整備を行い、内装ではキッチンやバスなどの水回りやドアノブなど使用感が出るものは交換することが多いという。

地方の空き家すべてを救えるわけではない

地方で急増する空き家の要因に、住宅市場では価値が低いことが挙げられる。が、カチタスの買い取り再販によって、価値が低い家も住宅市場に出すことができる。

もちろん、提示した買い取り価格では納得できないという場合もある。住宅市場で価値が低くとも、住んでいる人にとっては価値の大きいわが家だ。もっと高く売れるはずと、商談が成立しない事例もあるが、多くの場合は後から商談が復活するという。仲介会社を通じて住宅市場で売ってみると、なかなか売れないという実態がわかり、希望より低い額でも買い取りに応じることになるのだと。

ただし、すべての買い取り案件で買い取れるわけではない。人口減少が激しいなどその地域に住宅需要がなかったり、老朽化が進んでいて改修費用が高額になったりで、相談を受けたものの買い取れないということも多い。感覚値だがという前置きではあるが、10件に3件程度を買い取るイメージだという。残念ながら、家に価値を足すことで住宅市場に流通できる家には、限りがあるのだ。

結局、多くの地方の空き家やその予備軍は、買い取り再販事業では救えないことになるが、所有者が適切にメンテナンスをしていれば、改修費用を抑えることができて買い取り再販が可能になることもあるだろう。

日本の住宅は、新築時に多くのこだわりを持って建てるのに、所有後はあまりメンテナンスされないことで、老朽化が進んでしまう。日頃からしっかりメンテナンスをすることが、空き家の解消につながるのかもしれない。

山本 久美子 住宅ジャーナリスト

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やまもと くみこ / Kumiko Yamamoto

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「All About(最新住宅キーワードガイド)」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を有す。

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