「地方の古い戸建て」買い取る企業の儲けの秘訣 カチタスの登場で深刻化する空き家は減るか

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近年「買い取り再販事業」が広がりつつある。買い取り再販とは、事業者が古い住宅を買い取って、リフォームしたうえで、自社が売り主となって販売する事業だ。

「古い住宅」は、今のものより性能が低いことに加え、老朽化が進み見栄えも悪いので、改修をしないと住宅市場に出しづらい。改修にいくらかかるかわからないし、時間も手間もかかるので、一般消費者にはハードルが高い。

事業者であれば、一般消費者と違い、大量発注することでリフォームコストを抑えることができ、改修内容をパターン化することで工期も短くできる。住宅の性能を今のレベルに向上させ、今の生活に適した間取りや設備に改修すれば、買いたいという人が現れる。こうした買い取り再販事業者が、近年増えているのだ。

取り扱う物件はマンションが多い

ところが、買い取り再販事業者が取り扱う住宅の多くは、都市部のマンションだ。

なぜなら、マンションは、年代別に構造や設備に類似性があり、経験豊富な事業者であれば、物件をしっかり見れば、あらかじめ改修箇所や費用などを予測することができる。しかも、マンションは都市部に多いので、買い手となる一定の需要層も見込める。

これに対して戸建ては、建てたのが大手ハウスメーカーか地元の小規模工務店かによって、構造や間取り、設備などに大きな違いがある。さらに改修が必要な範囲が、マンションのように住宅内にとどまらず、住宅の基礎や屋根、外構も対象になり、それぞれの状態もさまざまで、改修範囲の特定や費用の予測が難しくなる。

例えば、想定した以上に構造部分が腐食していたりすると、改修費用がかさみ、その額を上乗せしたら市場で売れない販売価格に上昇するので、結果的に赤字になるという場合も少なくない。こうしたリスクを避けるために、築年数の新しい戸建てに限定したり、そもそもマンションしか扱わないといった、買い取り再販事業者が多いのが実態だ。

ましてや、購入需要の小さい「地方」では、なおさらリスクの大きい戸建ての買い取り再販事業は展開できないという構図になる。

そんな中、通常なら手を出さない「地方」×「古い戸建て」の買い取り再販事業で急成長しているのが、「カチタス」だ。2018年3月期に売上高692億円、営業利益73億円だったが、2019年3月期には売上高813億円、営業利益91億円に成長。なぜビジネスとして成功しているのか、代表取締役の新井健資氏に聞いた。

カチタスの成功の理由は、立ち上げ当初のビジネスモデルにあった。実は、カチタスの当初の事業は、「競売物件」の買い取り再販事業だった。

競売物件とは、ローンの返済ができなくなった不動産を裁判所が差し押さえ、競売にかけて最高値を付けた人に売却して、ローンの返済に充てるもの。もし市場価値の高い不動産なら、住宅市場で売却したほうが、競売より高く売れる可能性が高い。したがって、競売物件には、市場価値の低い(住宅市場では安くしか売れない)、地方の空き家などが多くなる。

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