「地方の古い戸建て」買い取る企業の儲けの秘訣 カチタスの登場で深刻化する空き家は減るか

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カチタスは、こうした市場価値の低い競売物件を買い取って、再生して販売することを繰り返し行うことで、独自のノウハウを構築し、ビジネスとして全国展開できるようになったという。

カチタスの店舗展開は、都市部に店舗を増やしていく多くの不動産会社とはかなり異なる。競売物件が対象なので、地方裁判所の近くに店舗展開をしていった。同社の店舗一覧を見ると、大都市はごくわずかで地方都市の店舗がずらりと並ぶ。

競売物件で構築したカチタスのノウハウは、そのまま「地方」×「古い戸建て」の再生ビジネスにつながっていく。地方の古い空き家は増え続けているので、ビジネスチャンスも拡大するうえ、もともと地方に店舗展開していたので、独自の情報収集や販売経路などが構築されているという環境にあったわけだ。

「地方」でも手頃な価格にすれば買い手はいる

とはいえ、2つの大きなハードルがある。

(1)買い取り再販する住宅が、人口流出の進む地方で売れるのか

(2)いかに精度高く改修費用を予測(=買い取る住宅の目利き)できるか

この疑問を新井氏にぶつけてみた。まず、「地方で家が売れるかどうか」については「買う人はいる」と新井氏は言い切る。

同社のビジネスモデルで、購入者としてターゲットしているのは下表のような層だ。地方都市で、初めて家を購入する層に対して、住宅市場では売りづらい家を買い取り再生し、手頃な価格で売り出す、というシンプルなものだ。

(注)*1 平均販売価格、買主の年齢層、買主の年収層については、2019年3月期の実績。*2 住宅ローン年収倍率=販売価格(税込)÷年収 年収はヒアリングベース。現金一括客、年収不明又は法人は除き算定
(出所)カチタス「2020年3月期第1四半期決算説明資料」
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