――今回取材させていただく貨物の臨港線は、どんな特徴のある路線なのでしょうか。
渡辺:臨港線は総延長21kmです。鹿島サッカースタジアムと神栖の間は1日に貨物列車が3往復運行しています。神栖と奥野谷浜の間は1往復です。貨物用の機関車は「KRD形」1両と新しい「KRD64形」2両があり、この3両で貨物列車の運行を行っています。

鹿島サッカースタジアムと神栖の間は保安装置が特殊でして、我々は「ズバコン」と呼んでいますが、出発信号機のところに受信機があって、運転士がテレビのリモコンのような発信器を使って自ら進路構成を要求するという仕組みです。
神栖を起点に奥野谷浜までの運行は「スタフ閉塞」です。駅の前にスタフの収納機がありまして、そこで駅長から運転士が受領して、スタフを携帯して運行するという、全国にも数少なく残っているうちの1つかと思います。
到着する貨物の誘致に力
――貨物はやはり周辺の工業地帯から出荷されたものが主体ですか?
渡辺:この鹿島臨海工業地帯は、原料については船で輸送されてくる形態です。ですから、神栖駅は製品などの出荷が多いのが特徴ですね。
――すると、神栖駅に到着する貨物というのは少ないんですか?

渡辺:発送は約17万9000トン、到着が約9万トンで、発送のほうが多いですね。全体の輸送量は直近では28万トン弱で推移しています。過去最大の輸送量は2007年度で、このときは約32万トンでした。
――どんな貨物の発送が多いのでしょうか。
渡辺:発着別に見ると、発送は2018年度の実績ですと化学工業品・化学薬品がトン数ベースで6割を占めています。到着も化学工業品・化学薬品が5割近いです。特徴的なのは、到着の約2割を占める「返回送コンテナ」ですね。化学工業メーカーさんが薬品などの出荷のためにタンクコンテナを回送してくるので、その割合がけっこう多いのです。
――到着する貨物がもっと増えれば、コンテナも回送ではなく積み荷のある状態でやってくることになって、効率がよくなりますね。
JR貨物・田畑努水戸営業所長:神栖駅には絶えず空のコンテナを送り込んでいます。そうしないと、発送より到着が少ないのでコンテナ不足になってしまうためです。今、JR貨物と鹿島臨海鉄道が一緒になって、神栖着の貨物の誘致をしているところです。
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