あの4Kテレビが「暗い」というとんでもない衝撃 輝度が十分足りない製品が多数出荷されている
1つ目(①)が「最大輝度の不足」だ。
4K放送の特徴の1つであるHDRを生かすには、「一定以上の輝度」が必要だ。ここでいう「輝度」(単位=nit<ニト>)とは、「人間が目で見えるテレビ画面の明るさ」のことだ。そして、テレビが持つ最大の明るさ能力のことを「最大輝度」といい、機種によって異なる。この最大輝度が十分にないと、4Kの特性である明暗のコントラストを十分に表現できず、画面が暗く見えてしまうことがある。
番組の映像編集では最大1000nitという輝度の「マスターモニター」を使っているが、放送局が制作した映像を衛星経由で受像する4Kテレビの最大輝度は1000nitを大幅に下回る機種が大半だ。多くの放送局関係者は、「4Kテレビの輝度不足」を暗く見える要因の筆頭に挙げる。
東芝以外の4社は最大輝度を「非公表」
国内大手メーカー5社(東芝、パナソニック、シャープ、ソニー、三菱電機)への取材で、自社の4Kテレビの最大輝度を明かしたのは東芝のみだ(500~800nitと回答)。それ以外の4社は「非公表」だった。複数のテレビ技術者などへの取材では、これまでに販売された大手の4Kテレビの最大輝度は300~800nit程度で、実際は500nit前後の機種が多いという。
メーカー側も実は、4Kテレビの輝度をもっと上げたいと考えているが、そのためには液晶テレビでは大規模な電源(バックライト)が必要になりコストがかかるため、一般家庭が買える価格帯では、そうしたテレビを売り出すことがまだできないでいる。
2つ目(②)が民放5局(BSフジ、BSテレ東、BS-TBS、BS朝日、BS日テレ)の4K放送番組の多くが2Kカメラで撮影されていることだ。
2Kカメラで撮影された映像を放送規格に従い、4K映像にアップコンバート(映像変換、アップコン)したものは、明るくない4K映像になりやすい。一方、NHKの4K番組はすべて4Kカメラで撮るため、アップコンの影響を受けず、民放よりも明るく映りやすい。
3つ目(③)は従来の2Kテレビがある意味で「明るすぎる」ということだ。
4Kテレビが初めて発売されたのは2011年だが、それ以前から2Kテレビは並行して売られている。ある大手電機メーカー幹部によると、2Kテレビのバックライトの性能がここ十数年ほどでどんどん上がり、専門家によるとブラウン管時代のテレビに比べて明るさが3~5倍になっているという。
普通の2Kテレビ(放送)の画面が、映像制作段階よりも格段に明るく見えるようになっている。そのため、新たに4K放送を見る視聴者は、それと比較して暗く見えてしまう。
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