株価が下落した時、個人投資家がとるべき行動 「日経平均1万6000円予想」への反省と真意

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筆者には、そうした短期売買や投機的な売買をする投資家の方に資するような、株価予想値を提供できる能力はない。実は、「いや、馬渕さんのコラムは、見通しの数値はともかく、背景となる分析が参考になる」と、おっしゃっていただくことも多く、本当にありがたく思う。それでも、筆者のスタンスと読者の当コラムに対する期待の乖離が開いたまま、不幸な読者の方がこれ以上増えることがないよう、この場を借りて、当方の情報発信のスタンスを申し上げさせていただいた。

繰り返しになるが、当方の情報発信のスタンスがどうであろうと、今年1万6000円に日経平均が向かうという見通しを立て、誤り続けたことについては、言い訳のしようがない。心よりお詫び申し上げる。

今週は「忙しい1週間」に

さて、コラムの本題である市場展望を述べると、今週はFOMC(米連邦公開市場委員会、10月29~30日)や日銀の金融政策決定会合(30~31日)、アメリカの主要経済統計の発表(GDP、ISM製造業指数、週末の雇用統計)、国内企業の半期決算発表など、材料は数多い。

連銀内部の意見は割れているとは聞くが、ジェローム・パウエル議長は3度目の利下げに傾いているようだ。ただ利下げ観測は既に市場に織り込まれているだろう。日銀は、前回9月の会合時の声明文で、「経済・物価見通しを作成する次回の金融政策決定会合において、経済・物価動向を改めて点検していく」と述べたため、追加緩和期待が生じている。

しかし、足元では、日銀が警戒を示すような、強い株安にも円高にもなっていない。国内経済についても、足元の消費増税の影響はまだはっきりとはみえず、判断する材料が不足している。このため追加緩和という「弾薬」は、今後の景気悪化や市場の急変に備えて温存されるだろう。

日本の企業決算については、マクロの輸出・生産統計や企業心理データなどから推察する限り、製造業中心に足元の業況はかなり悪いと懸念される。米ファクトセット社が集計した、東証1部全企業についてのアナリスト見通しの平均値では、この先12カ月間の1株当たり利益予想値の前年比は下方修正基調が続き、10月25日時点では マイナス9.4%と大幅な減益が見込まれている。

それでも、先週までのような「吊り上げ相場」が持続していると、企業決算の内容が悪くても、「悪いことは織り込み済みだ」「9月までの収益は悪いがその先は好転するに違いない」と唱えながら、日経平均が上値を伸ばすことは、否定できない。今週は、多くの材料により、上にも下にも株価の動きが荒くなると考え、日経平均株価は、2万2300~2万3200円と、やや広めのレンジと予想する。

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