人生に「さよなら」した15歳少年が残した悲鳴

「教育委員会は大ウソつき」との手紙

2018年1月には調査委が佳奈さんと接触。法に基づき、いじめの重大事態であるため調査委員会が設置されたことを説明したという。しかし、佳奈さんは「調査委や重大事態の説明はなかった」と話す。少なくともわかりやすい方法で話していないのだろう。市教委は「再度、丁寧に説明していく」と強調する。

咋年6月、加害生徒7人と親たちから謝罪を受けた。だが同じころ、別の加害者の保護者から「その足になったのも飛び降りたのも、自分の意思」と強い口調で言われた。

「辰乃輔は“自分の意思じゃないのに”と言っていました。この暴言の後から寝つけないようになり、悪夢を見たり、1日2時間ほどしか睡眠時間がありませんでした」

同年7月に「いじめの件、どうなっていますか?」と担任に聞くと、「いじめは解決できない」と言われた。

何げないひと言が子どもを死に追いやってしまう

度重なるSOSは、ついに届かなかった。佳奈さんは悔しさでいっぱいだ。

「(辰乃輔くんの死は)いじめや学校、市教委の対応による苦しみやつらさが積み重なった結果だと思う。高校は楽しいと言っていましたが、またいじめられるのではないかという不安や過去のフラッシュバックが勝ってしまった」

佳奈さんによると、辰乃輔くんの死後、市教委は自宅を2度訪れたという。市教委へ確認すると「ようやく遺族と連絡がとれたばかり。遺族の意向もあり詳細は話せない」と述べた。いつ、どのような経緯で辰乃輔くんの死を知ることになったのか聞いても「詳細は教えられない」。

調査委が設置された中での自殺という異例の事態をどう受け止めるかについても尋ねたが、「議会で教育長が述べたとおり」。明確な回答はなかった。

「子どもを守れるのは大人です。子どもの悲痛な叫びを握りつぶしたのも大人です。何げないひと言が子どもを死に追いやることをわかってほしい」(佳奈さん)

(取材・文/渋井哲也)

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