人生に「さよなら」した15歳少年が残した悲鳴 「教育委員会は大ウソつき」との手紙

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「“なんでこんなに苦しまなければいけないの?”と言っていました」(佳奈さん)

学校に連絡すると校長が訪ねてきた。SOSに気がつかなかったのかと聞くと、校長は「あれ(手紙)がSOSですか?」と言ったという。

辰乃輔くんは10月19日にも手紙を書き、担任に送った。

《学校は、いじめがないって言ってるけど、いじめられていたぼくはなんだろう》

26日の夜、また自室で首をつろうとした。このとき、学校宛ての手紙を書いている。

《ぼくは、学校のじゃまものなんだ。いじめられたぼくがわるい。学校の先生たちはなにもしてくれない》

学校側は11月、ようやく、いじめの有無に関するアンケート調査の結果を佳奈さんに伝える。教頭は電話で「いじめはない」と述べた。

《死んでぼくがいじめられた事を分(か)ってもらいます》(25日)

なぜいじめっ子が学校へ行けるの?

調査について市教委は「9月に実施」というが、佳奈さんが開示請求をした際には資料が存在しなかった。本当に調査をしたのか。または破棄されたのか。文科省の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」では、調査記録は「少なくとも5年間保存」が望ましいとしている。

辰乃輔くんはいじめられ、3度の自殺未遂の末に右のマンション11階から飛び降り自ら命を絶った(写真:週刊女性PRIME)

2017年の正月明け、辰乃輔くんは1度、学校へ通った。クラスで絵馬を飾ることになり、「いじめがはやく解決しますように」と願い事を書いたが、担任から「それは飾れない」と却下された。再び、学校へ行かなくなった。

3回目の未遂は同年4月10日。転落死したのと同じマンションから飛び降りた。

一命はとりとめたが、重傷。一時は車椅子生活になった。

「“いじめられた僕が学校へ行けなくて、いじめた子たちがなんで学校へ行けるの?”と言ってました」(佳奈さん)

3度目の未遂後、新任の校長は「いじめがあった」と認めた。11月2日、調査委の第1回会合が実施。最初の未遂から1年2カ月が経っていた。

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