ソニーが沖縄で開発する「自動運転車」の正体 「スマホが車に」映像技術モリモリの壮大計画

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いずれも個人に車を保有してもらうのではなく、車を使ってもらうサービスで、収益モデルも広告表示などを検討している。「量産車として売り出すよりも、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)のさまざまなあり方を探っている。スマホ開発を通して、機種そのものの力だけでなく、魅力的なアプリや使い方があるから売れることがわかった。車でも同じように使い方の提案をしたい」(江里口氏)。

CG技術を使った「女性の霊」など、ホラーをテーマにした映像を楽しむこともできる(記者撮影)

共同開発したヤマハ発動機も同じような問題意識を持っている。ゴルフカートでは圧倒的なシェアを誇るが、「ものづくりで対価を受け取る以外に、何か新しい楽しみ方を提案して次の成長を目指したい」(田口慎一郎商品企画部長)という。

ヤマハ発動機自身、自動運転技術ではアメリカの半導体大手エヌビディアと協業するなど、最新技術の探索も進めている。今回は「目指すサービスに最低限必要な技術」(田口氏)を搭載するにとどめた。

エレキとエンタメの相乗効果を狙う

顧客体験を重視する姿勢は、沖縄で始めるサービスにも現れている。開発は運営主体のリゾート施設と二人三脚で試作を繰り返した。当初カップル向けに定員2人だったのを、家族でも乗れるように5人に増やした。

沖縄では天候が急変することも多く、車両外部のディスプレーの防水性を高め、多少の雨にも耐えられるように補強した。今後も適宜改良を加えていく。

自動運転といった新たな領域にサービスといった視点から参入するような動きは、最近のソニーの特徴をよく表している。吉田憲一郎社長は今年、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」とソニーの「存在意義」を定義した。

ソニーはエレクトロニクスの会社だが、音楽やゲームといった事業で営業利益の多くを稼ぐエンターテインメント企業でもある。近年の事業ポートフォリオはこれらとの相乗効果を重視している。昨年発売の犬型ロボット「aibo」はかつての製品の復活だが、これもAIを使った新しいサービスの追求と言うことができる。

2018年3月期から2期連続で純利益を更新し、華麗な復活を遂げたソニー。「いろいろ種をまいて、試行錯誤をしている段階」(江里口氏)にあるのは事実で、ソニーが今後の成長の種を根付かせることができるかは、これらの取り組みが成否を握っている。

高橋 玲央 東洋経済 記者

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たかはし れお / Reo Takahashi

名古屋市出身、新聞社勤務を経て2018年10月に東洋経済新報社入社。証券など金融業界を担当。半導体、電子部品、重工業などにも興味。

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