「年金未払い学生」だった48歳以上の人はヤバイ

将来、国民年金を満額もらえない可能性が

具体的なケースで見ていきましょう。

先日、ご相談に来られた会社員Aさんは1964年1月生まれの55歳、まさに「任意加入世代」でした。ねんきん定期便を拝見したところ、国民年金の加入期間は「0月」。大学を卒業してから会社員として働き続けてきたので厚生年金に加入してきたわけです。

しかし学生時代に国民年金には加入していません。詳しい加入記録をねんきんネットで確認すると、1984年1月から1987年3月まで39カ月間が未加入でした。Aさんは1浪したので、20歳から23歳まで未加入の期間が3年余りと長引いていました。

その結果、Aさんの老齢基礎年金の受給予定見込額は71万5092円と、19年度の満額受給額78万0100円に比べ6 万5008円少ないことがわかりました。仮にAさんが65歳から90歳まで年金受給すると、受け取り総額は満額に比べて162万5200円も少なくなります。

Aさんはこの事実を知り、衝撃を受けたようでした。「学生時代の任意加入は親から耳にした記憶があります。就職したら厚生年金に加入するのだから国民年金も満額もらえるはずと、親も自分も軽く考えていました」と言います。

60歳以降も保険料を納めると、年金額を増やせる

Aさんのように、国民年金が任意加入だった時代に加入しなかった場合には「任意未加入者」として扱われます。任意未加入期間については合算対象期間とされ、受給資格期間にカウントされるものの、年金額には反映されません。

受給資格期間には含まれるのに年金額には反映されないので、「カラ期間」とも呼ばれます。Aさんはこのまま60歳まで厚生年金に加入すれば国民年金にも40年間加入したことになりますが、「カラ期間」があるせいで老齢基礎年金を満額もらえないのです。

国民年金の保険料を納めることが可能な期間は、保険料の納期限から2年間です。特例措置として、納期限を延長する後納制度が設けられていましたが、2018年9月末で終了しました。「カラ期間」については保険料を追納することができないのです。Aさんは「万事休す……ですね」と落胆しました。

しかし、満額の老齢基礎年金をもらえない人や、加入期間が受給に必要な10年に満たない人は、60歳以降に保険料を納めることができる「任意加入制度」があります。60歳以上65歳未満の5年間(納付月数480カ月まで)に国民年金保険料を納めることで、65歳から受け取る老齢基礎年金を増やすことができるのです。

例えば、Aさんが60歳以降、任意加入制度を利用して国民年金の保険料を39カ月間納付した場合、納付総額は63万9990円で、年金増加額(年額)は6万3383円になります。これらの金額は令和元年度ベースでの試算ですが、Aさんが65歳から76歳まで約11年間年金受給すれば、年金増加額が保険料納付額を上回ることになります。

次ページ60歳以降の任意加入には、厳しい条件がある
マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナ後を生き抜く
  • コロナショック、企業の針路
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
自動車「コロナ不況」が促す<br>部品業界サバイバルの行方

コロナ危機の自動車部品メーカーへの影響は、過剰な設備と人員を抱えていた日産系でとくに深刻。比較的堅調だったトヨタ、ホンダ系も無傷ではありません。世界レベルでの技術開発競争は激化の一途で、生き残りへの再編と淘汰が始まろうとしています。