日韓関係の「関係改善の糸口」はどこにあるのか

ムン政権が「GSOMIA終了」を決定した背景

輸出管理強化からGSOMIA終了へと、関係改善の糸口が見えない日韓関係の行く末とは。写真は10月16日、韓国昌原市の慶南(キョンナム)大学で開催された民主化要求デモ40周年を記念する式典で演説する文在寅大統領(写真EPA=時事)
輸出管理強化からGSOMIA終了へと、関係改善の糸口が見えない日韓。韓国側から見た世界――日本・アメリカ・中国・北朝鮮との関係性を読み解くことが、「新しい関係性」を模索するよすがとなる。

GSOMIA終了決定の2つの理由

文在寅(ムン・ジェイン)政権による日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了決定は、日本だけでなく韓国、そして同盟国であるアメリカにおいても衝撃をもって受け止められた。

韓国大統領府(青瓦台)は終了決定に際し、日本政府による①「ホワイト・リスト」からの韓国除外など貿易管理運用の見直しと、②徴用問題(2018年10月30日の韓国大法院判決)の外交的解決のための対話や協議の拒否、の2つを理由として挙げた。

まず8月22日の終了決定直後に金有根(キム・ユグン)国家安保室1次長は、安全保障上の問題が発生したとの理由により日本政府が「ホワイト・リスト」から韓国を除外したことで「両国間の安保協力環境に重大な変化を招いたと評価し」、GSOMIA延長が「わが国の国益に合わないと判断した」と発表した。

そして翌日(23日)には、金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室2次長がブリーフィングを通じて、韓国側が徴用問題を外交的に解決するため、あらゆる案を肯定的に検討する用意があることを繰り返し伝えたにもかかわらず、「日本側の対応は単なる『拒否』を超えてわれわれの『国家的自尊心』まで傷つけるほどの無視で一貫し、『外交的欠礼』を犯した」と述べた。

本記事は『外交』Vol.57(10月1日発売)より一部を転載しています(書影をクリックするとアマゾンのページにジャンプします)

確かにこれらの理由は今回の決定の直接的契機(トリガー)となったものであるが、本稿では文在寅政権がGSOMIA終了を決定した構造的な要因を、その国際秩序認識の観点から考察してみたい。

韓国では李明博(イ・ミョンバク)政権下の2010年頃から国際秩序観(朝鮮半島を取り巻く地政学的状況に対する認識)が「四強」(米ロ中日)から「米中G2」へと変容し、それが日韓両国の対外情勢認識とそれに基づく外交安保戦略の乖離をもたらしてきた。実はこうした認識の変容と戦略の乖離が、文政権によるGSOMIA終了決定の構造的要因として作用している。以下では5つの点について考察してみたい。

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