「そうは言うが、結局いつまでも親元に住んでいるから結婚ができないんじゃないか」と反論される人もいるかもしれません。では、都道府県別に、2000年と2015年の国勢調査から40~50代親元未婚率と生涯未婚率(45~54歳の未婚率平均)との差分相関を見てみましょう。
男のほうの相関係数は、▲0.1653で親元への同居と未婚率との間には相関はほとんどありません。女のほうは▲0.5050で、むしろ親元に住んでいない一人暮らしのほうが未婚率は高いということになります。要するに、少なくとも親元に住んでいるから未婚率が上がるなんてことは言えないのです。
経済的問題が大きい
ましてや、「中高年の親元未婚が増えたから未婚化が進んだ」という因果はなく、むしろ中高年の未婚化のほうが先で、結果として40~50代の親元未婚者数が増えたと見るべきです。決して、子どもの自立意識の問題ではないし、親が子離れできないからでもありません。自立する・しないや甘える・甘えないという問題以前に、子にしても親にしても、そもそも経済的問題が最も大きいのではないでしょうか。
一人暮らし未婚と、親元未婚とで所得にどれくらいの格差があるか、調べてみました。2017年就業構造基本調査には、親元未婚という指標は存在しないため、以下のような形で推計しました。
所得分布別有業未婚者総数から、同じく所得分布別有業単身世帯のうちの未婚者だけを引き算して、親元未婚の所得分布を推計、おのおのの平均所得を男女別に算出しています。全年代を対象としていますが、無業者は除くため、無業の高齢者や若年の学生などは含みません。
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