死の間際に「お花畑」が見えるのは日本人だけか 名医が語る「ご臨終」の不思議な世界

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「初七日」は、故人が亡くなった日を入れて7日目にあたる日。この日には特別な意味があり、死者がお花畑を渡って三途の川にたどり着く日という言い伝えもあるようです。

(絵:カワグチニラコ)

「四十九日」はとくに重要な意味を持つ日とされます。死者は亡くなってから49日間、この世とあの世の狭間で成仏できずにいるとされ、成仏させるためには親類縁者の祈りが大切とされてきました。だから四十九日の法要は「死者が安らかに天国へ召される特別な日」ということになっているのです。

「百箇日」は、死者が新しい仏としてこの世と別れ、天国で安住の地を求める日とされます。こうして死者を天国へ送ることにより、親類縁者の祈りはほぼ達せられると考えられています。

そして「一周忌」は喪明けの日とされ、初七日、四十九日と並び、法要の中でも極めて大切な日です。その後「三回忌」があり、この法要で、死者は完全に天国の住人になると信じられています。

法要が不可能になっても、忘れてはいけない気持ち

かつては、七回忌、十三回忌、十七回忌などのほか、五十回忌まで法要を行うこともあったようですが、少子高齢化と核家族化が進んだ現代の社会構造から考えても、数十年に及ぶ法要はほぼ不可能な時代といえるでしょう。

ただ、たとえどんなに親類縁者が集まるのが難しい時代になったとしても、死者を弔う気持ちは忘れてはいけないと私は思っています。社会の根本的な構造の単位は家族。人として、家族を大切にする気持ちは持ち続けたいものです。

以上、臨終間際の人に見られる不思議な現象を解説した前回記事に続き、今回はついに死に至った人に起こる奇妙な現象についてお話ししました。

『イラストでわかる ご臨終の不思議な世界』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

最近は高齢者への敬いや、人生の先輩が残した遺産に対して関心を持たなくなっている風潮も見受けられますが、親から子へ、子から孫へと、けっして消えることのないDNAの継承は人類ある限り続くものであり、私たちはそれをしっかり認識しなければならないと思います。

私たち人間も自然の摂理に従う生き物であり、いつか必ず「死」に向き合わなければなりません。これはもはや医療を超越した話かもしれませんが、「死の先にあるもの」をむやみに恐れず、心の奥に意識しておくことは、自分が死にゆく立場になったとき、また、死にゆく家族を看取る立場になったときの「心のあり方」に大きく影響するはずと、私はいつも思っています。

志賀 貢 医学博士、臨床医

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しが みつぐ / Mitsugu Shiga

1935年、北海道生まれ。医学博士。昭和大学医学部、同大学院博士課程修了後、臨床医として約50年にわたって診療を行う傍ら、文筆活動においても『医者のないしょ話』(角川文庫)をはじめとする小説やエッセイなど著書多数。また、美空ひばり「美幌峠」「恋港」などの作詞も手掛け、北海道の屈斜路湖畔を望む美幌峠には歌碑が建立されている。

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