セパージュ時代の到来(1)前夜:パリの試飲会《ワイン片手に経営論》第15回
■名士集った試飲会
1976年5月24日、フランスのパリにあるインターコンチネンタル・ホテルで、アカデミー・デュ・ヴァン(1972年パリに開校したワインスクール)主催によるワインの試飲会が開催されました。この試飲会は、アメリカ合衆国独立200年を記念して開催されたのですが、今振り返って見ると、テロワール主義とセパージュ主義が正式な場で勝負を行ったものと位置づけられます。意図せず、ワイン業界にとって歴史的事件となったわけです。この試飲会の審査員は、全員フランス人。いずれもフランスのワイン業界では名の知れた大御所ばかりでした。例をあげると、次のような面々です。
・レイモン・オリヴィエ
このワインの試飲会がひらかれた1976年に三ツ星を獲得した名門レストラン「ル・グラン・ヴェフール」のオーナー・シェフ
・オデット・カーン
「La Revue de Vin de France」および「Cuisine et Vins de France」といった老舗ワイン雑誌の編集者
・ピエール・タリ
ボルドーのマルゴー地区にある、3級格付けシャト-「シャトー・ジスクール」のオーナー
・クリスチャン・ヴァネケ
三ツ星の名門レストラン「トゥール・ダルジャン」のシェフ・ソムリエ
・オーベール・ド・ヴィレーヌ
同じく三ツ星レストラン「タイユヴァン」のオーナー
・ジャン・クロード・ヴィリナ
ロマネ・コンチ社の共同経営者
これらの名士たちが、フランス・ワインとカリフォルニア・ワインをブラインド・テースティングしたのです。ブラインド・テースティングとは、ボトルのラベルを隠して、銘柄が分からない状態で試飲し、評価をするものです。この試飲では、20点満点で評価をし、集計して、どのワインが優れているかを順位付けしました。
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