パソコンで終わらない、切り刻まれるソニー PC撤退、テレビ分社化、事業の切り売りが続く

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高水準の割増退職金

1996年発売のVAIOは、個性的なスタイルとビデオ編集機能の強化で一世を風靡し、とりわけ欧州での人気は高かった。新興国向けの低価格品など普及品を作り始めたことで、10年度には年間870万台とピークをつける。だが数量を追いかけていく作戦は、プレミアムパソコンとしてのブランド価値を棄損させ、パソコン市場の不振とともに利益の出ない体質になっていった。

VAIOの立ち上げにかかわった辻野晃一郎アレックス社長は「かつてVAIO部隊は精鋭の集まりだった。人材やVAIOというソニー最強のサブブランドの力を、縮小するパソコン事業に固定化しておく必要はなく、他の商品や新商品へ活用できたはず」と悔しがる。「たとえば、富士フイルムは写真事業が急縮小する中、化粧品に乗り出して会社を救った。逆境下でも新しい事業を生み出すのが経営者の仕事だ。そうした努力を必死になってやったようには見えない」。

ソニーでは現在およそ1100人がパソコン事業に従事している。このうち、日本産業パートナーズが設立する新会社に移ることができるのは250~300人程度。残る800人強は他の事業部門への配置転換を検討するとしている。ただしこれは会社が異動先を紹介するのではなく、自力で探せ、という意味だ。

異動先を見つけられなかった場合、次の選択肢として「早期退職」が待っている。割増退職金は月収の36カ月分。13年3月期に国内外で1万人の人員削減を行ったときの割増退職金が40カ月分だったのと比べると若干少ないが、それでもかなりの高水準といえる。

かつてであれば、退職を拒否した場合に所属する部署がキャリアデザイン室だった。しかし、昨年春、同室の存在が報じられると、「追い出し部屋」だとして批判が集まった。そこでオフィスの引っ越しやイベント設営を受託する関連会社が受け皿となるなどして、13年3月時点では250人いた室員を100人まで減らしてきた。今後もキャリアデザイン室は規模を縮小していく方向であり、VAIO部門の多くの社員は希望退職の道へ進まねばならない。 

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