パソコンで終わらない、切り刻まれるソニー PC撤退、テレビ分社化、事業の切り売りが続く

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3コア事業も厳しい

もちろん人員削減で固定費を引き下げれば、それだけでエレキ再建を果たせるわけではない。問題は注力するコア3事業で儲けられるかどうか、だ。

ソニーがコア3事業と位置づけるのが、スマートフォンなどモバイル、ゲーム、そして画像センサーやデジカメなどのイメージングだ。確かにこうした分野では、ソニーらしいと評価される商品が出始めている。

ただし事業として見ると、その基盤は盤石ではない。世界3位を狙うスマホは競争激化がさらに加速。パソコン大手のレノボがグーグルからモトローラ・モビリティを買収するなど、中国メーカーの台頭も著しい。両巨頭のアップル、サムスン電子ともすでに伸び悩みを見せる市場で、存在感を示すのは容易ではない。またゲームもスマホゲームやクラウドゲームが本格化する中で、従来型の据置型ゲームがどこまで存在意義を保てるかは未知数だ。

こうした懸念に対して平井社長は、「事業ポートフォリオの組み替えはつねにやっていく」と語り、今期来期と700億円ずつ積む構造改革費用は、その後も一定程度は生じるとしている。

今後、本社側で事業ポートフォリオの組み替えを主導するのは、昨年12月に斎藤端氏の後任としてCSO(最高戦略責任者)に就任した吉田憲一郎氏とその腹心の十時裕樹業務執行役員とされる。吉田氏への平井社長の信任は厚く、ノンコア事業売却のキーマンだ。

VAIO事業を買収する予定の日本産業パートナーズは、1月30日にインターネットプロバイダのNECビッグローブの買収を決めたばかり。吉田氏がつい最近まで社長を務めていた同業のソネットへの関心も高いはずで、新CSOは、まず「ソネット売却交渉」を手掛けることになるのかもしれない。

週刊東洋経済2014年2月22日号〈2月17日発売〉の核心リポートでは8ページに渡る「ソニー緊急特集」を組んだ。当記事はそのうちに冒頭3ページ。全編については週刊東洋経済をご覧ください)

風間 直樹 東洋経済コラムニスト

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かざま・なおき / Naoki Kazama

1977年長野県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、法学研究科修了後、2001年東洋経済新報社に入社。電機、金融担当を経て、雇用労働、社会保障問題等を取材。2014年8月から2017年1月まで朝日新聞記者(特別報道部、経済部)。復帰後は『週刊東洋経済』副編集長を経て、2019年10月から調査報道部長、2022年4月から24年7月まで『週刊東洋経済』編集長。著書に『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』(2022年)、『雇用融解』(2007年)、『融解連鎖』(2010年)、電子書籍に『ユニクロ 疲弊する職場』(2013年)など。

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