「独身アラフィフ女性」海外移住2年後のリアル 人生経験を積んだからできたことがある

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ポーランドはOECDのデータによると、2017年にOECD諸国で最も労働目的の移民が増加した国。移民申請の急増についていけず移民局(外国人局)はパンク状態となっている。ワルシャワの場合、滞在許可の発給は平均で7カ月待ち。1年待ちももはや珍しくなく、2年待っている人もいるという。ちなみに、申請から結果が出るまでの期間の滞在は合法だが、正式な居住者として認められてはいないという中途半端な状態になる。

手続きに時間がかかるだけではない。正しく情報を把握するという基本的なことが非常に難しい状況となっている。移民局の窓口に行くと、問い合わせは電話かメールで行うように言われる。しかし、問い合わせ用の電話番号はつねに話し中、メールは返信が来ないことがほとんどで、あてにできない。

弁護士の情報が間違っていたことも

そこで 、お世話になったのが弁護士の友人たちだ。法的な問題の対処にプロのアドバイスは不可欠なので彼らの存在は心強かった。ただし、ポーランドは専門分野が非常に細かく分かれており、やり手の弁護士でも自分が実際に携わっている分野以外は精通していない。しかも、友人とはいえプロに何度もタダで法律相談をお願いするのは気が引ける。

そのため、ボランティア団体などが提供する無料法律相談などもいくつか併用。しかし、同じ質問をしても人によって言うことが違う。しかも、弁護士でも不正確な情報を教えてくれることが少なくない。無料だから質が悪いというわけでもなく、私の場合、インキュベーター経由でお金を払って依頼した弁護士が最も能力が低かった。

カトリックの国ポーランドでは、困っている人には手を差し伸べるという習慣がある。情報を欲しがっている人がいれば、自分が持っている情報を惜しみなく与えてくれる。たとえそれが間違っていても、自信をもって堂々と教えてくれる。国民性なのか? とはいえ、弁護士にはもうちょっと正確性を期待したいところである。とにかく情報は鵜呑みにせず、二重三重に裏を取ることが重要だ。

もう1つ大変なこととして挙げたいのは「自分との闘い」だ。これは日本にいても同じだが、人とちょっと違うことをしたり、何かにチャレンジするというのは応援してくれる人もいるが、批判されることも多い。やりたいことがある場合、周りからどう見られようと、ブレずに続ける姿勢が大切だ。

この「自分との闘い」には、「今まで自分はこういう場面をどう切り抜けてきたか」という経験が大きな武器となる。プラスなりマイナスなり、年を重ねた人間ほど経験は多い。若い世代の‟未来への可能性“は眩いばかりだが、アラフィフ、シニア世代の‟経験値”というのは、見知らぬ国で暮らすうえで大きなアドバンテージである。

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