日本人がやってしまう英語の「ダサいあいさつ」 NBA渡邊雄太選手が、英語を習得できたわけ

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どうしてこんなに通じないのかと思うほど、僕の英語力は使い物になりませんでした。しゃべれないし、相手が何を言っているのかもわからない。来る日も来る日も苦労の連続です。

だからといって、弱音を吐くわけにもいかない。渡米は自分で決めた道であり、この道を突き進むしかないのです。

「まずは言葉ができるようになる必要がある」

英語でチームメイトとスムーズにやりとりするまでになった渡邊雄太選手(c)ZUMA Press/アフロ

そう痛感した僕は、とにもかくにも英語の勉強に力を入れることにしました。

セント・トーマス・モア・スクールのバスケットボール部には10人ほどのメンバーがいました。フレンドリーな彼らは、僕にとって最良の英語の先生となります。

自分の言いたいことも伝えられない状態がしばらく続きましたが、それでもめげずに、たどたどしい英語で話そうと頑張りました。とはいえ、ときには心が折れそうな場面にもしばしば遭遇することになります。

クラスメートに話しかけられ、それに答えようと英単語を頭の中で必死に組み立てていると、相手がしびれを切らし「Oh, never mind.(あー、もういいや)」と言われてしまうのです。最初はフレンドリーに接してくれても、こちらがすぐに反応できないと「この人、英語がわからないんだ。話しかけて失敗した」という顔をされることもありました。さすがにこうしたことが続くと、心が折れそうになります。

意を決して自分から話しかけても、発音は悪いし、ボキャブラリーも多くない。そのせいで、なかなか言いたいことが伝わりません。まごまごしていると、今度は「何言ってるのかわからないよ」という顔をされてしまうこともありました。

救いだったのは、チームメートたちがそんな僕にも親身に接してくれたことです。彼らはいつでも仲間意識を持ってくれ、根気強くつき合ってくれました。彼らは僕の言うことを理解しようと努め、さらにはこちらが彼らの英語を理解するまで繰り返し説明するのをいとわなかったのです。

「雄太が言いたいのは、こういうことか?」

彼らがこんなふうに聞き返してくれたおかげで、「なるほど、これを言いたいときは、こういうフレーズで表現すればいいのか」と少しずつ会話のサンプルを集めることができました。チームメートたちは僕にとって本当にありがたい存在だったのです。

日本人がやってしまう「ダサいあいさつ」

英語がなかなかできないのは、頭の中でいちいち日本語から英語に訳していたことが原因の1つでした。このプロセスを通すと、会話のタイミングがずれてしまって自然に話せません。この過ちを犯してしまうのは日本人に限ったことではなく、ほかの国の留学生たちも同じでした。

こうした事情をよく理解しているプレップスクールの英語の先生は「外国語を話すときにいちばんやってはいけないのは、頭の中で訳すことだ」といつも留学生にアドバイスしていました。

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