「共感」をキーワードにした新たなEC戦略の事情 インフルエンサーの「着こなし」を通じて販売
FOR SUREで着こなしなどを発信するインフルエンサーは、運営するリデルが選んだ500人のみ。同社が提供するインフルエンサーと企業のマッチングサービス「SPIRIT」に登録する2万人から、とくにファッション分野に特化して影響力を持つ500人を抽出して“シュアリスト”として任命し、専用IDを付与している。
シュアリストは専用の「SURERIST」アプリで、FOR SUREに出店するファッションブランドのアイテムを購入。着こなしを自らのSNSアカウントなどで発信しつつ、SURERISTで詳細な情報を共有する。
ポイントは「実際に購入した商品しか発信できない」点だ。
一般ユーザーは、連動するInstagramアカウントで発信された情報から、自分がフォローするシュアリストのコーディネートを見て、そこからFOR SUREアプリで、「他シュアリストの着こなし写真」「フォローするシュアリストが購入した他のアイテム」「商品の詳細情報」などを経て購入すると、シュアリストにはコミッションが支払われる。
FOR SUREの販売手数料は30%で、ZOZOTOWNの35%に比べると安い。加えて30%のうち7%は購入者が参考にしたシュアリストに支払われるため、別途、追加のマーケティング費用が抑えられる。
つまり、インフルエンサー自身が買い物をし、買ったアイテムを発信。結果的にフォロワーが購入したときにのみお礼が発生する仕組みであるため「#PR」タグが不要になる。また、ブランド側は予測不可能な成果に対して報酬を支払うのではなく、実売に応じた報酬を支払えばいい。
「普段と同じ、自分が選んだ服だから」
セレクトショップ「LOVELESS」としてFOR SUREに出店する三陽商会セレクトショップビジネス部の西垣卓氏も「媒体を通じてブランド自身が発信するだけではなく、各アイテムをどう組み合わせ、着こなすか。ファッションのセンスや気づきを、企業ではなく“ファッション好きの個人”が担うことで、より消費者に近づける」と、参加の理由について話してくれた。
試験運用時から参加しているというシュアリスト・石田一帆さんは「大好きな洋服をどう見せればフォロワーに刺さるのかを事業として考えてみました。ギフティングでもらう商品ではなく、本当に自分が着る洋服を選んで購入する。いつもはInstagramで共有してそこで終わりだけど、さらに追加で着こなしについても語れる。Instagramを補完したプラスαを見せる、セレクトショップ店員のような視点で参加してみました」と話す。
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