猫に「犬のようなしつけ」がどうにも難しい理由 トイレができるのは覚えの問題じゃない
よく比較されがちな、犬との違いから、猫脳を考察してみることにしましょう。古くから二大ペットとして人に親しまれてきた犬と猫。猫は、2004年の大発見により、約1万年前から人に近いところで暮らすようになったという説が有力視されていますが、犬は、そのはるか昔、約2万年以上前の飼い犬の骨や歯が発見されているといいます。
そして、日本においては、縄文時代には、すでに犬が飼われていたことがわかっています。弥生時代のさらに前のことです。犬は家畜化された動物のなかで最も古く、人との歴史の長さからいっても、最良のパートナーといえる動物でしょう。近年、日本では猫の飼育頭数が犬を上回ったとのニュースもありましたが、それまでは長年犬のほうがペットの主役であったことは疑いがないでしょう。
犬は概して外交的で、人に従順です。そんな犬と比べられがちだから、猫は余計に気まぐれに見えるのではないでしょうか。猫自身は気まぐれなつもりは毛頭ありません。では、同じペットという枠でも犬がしつけることができて、猫がしつけられないとされるゆえんはなんでしょうか。
同じ祖先から、どう分かれて進化したのか
猫と犬の違いを語るとき、基準になるのは、進化の過程で分かれた生息地域と行動パターンです。実は犬の祖先も猫と同じ食肉目のミアキスです。そこから犬と猫の生息地域は、森と平原に分かれます。棲みついた場所により、おのずと狩りの方法も異なることに。
平原で暮らした犬は、集団で獲物を追い詰める狩猟方法を確立。群れで生きていくことになるわけです。仲間とともに狩りを成功させないと生きていけないわけですから、集団の中でおのずと自らの順位を意識するようになります。それがある種、人と共通する社会性です。
一方、猫は最初は森にとどまり、待ち伏せ型の狩りを単独で行っていました。自身で身を守り、すべて自分の判断で行動していたため、誰かに従うという習性がありません。狩猟方法の違いから、猫は犬のように誰かに命令されることを必要としていないのです。
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