千葉の停電、復旧を阻む「真因」は何なのか 荒廃した山林の倒木が電線を切断、難工事に

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経済産業省の推定によれば、今回の台風による電柱の倒壊は約2000本にのぼるとされる。電線の切断箇所に至っては、どれだけあるかはっきりしていない。

溝腐れ病が疑われる杉(左奥)。幹の途中から折れている(南房総市、記者撮影)

南房総市川上の復旧作業現場では、杉の木が幹の中ほどからぽっきりと折れた林が広がっている。周辺では折れた木が電線に覆いかぶさって停電を引き起こしていた。

この現場では100人以上の作業員を投入。幹線道路沿いに工事用車両をずらりと並べ、半日かかりで復旧作業が進められていた。

「事故点」を突きとめるのは難しい

大雨が降り続く中、幹線道路沿いでは、高所作業車での電線のつなぎ込み作業が続いた。熟練した作業員が、ゴム製で絶縁性能のある防護材を電線に巻き付け、感電を防いでいた。復旧作業が終了したのは午後3時半ごろ。東配工の吉田幸之助班長は「安全作業でけがもなく終えることができた」と振り返った。

復旧作業の課題として、「事故点」と呼ばれる不具合箇所を突きとめることの難しさがある。広大な山中のあちこちで倒木が電線に覆いかぶさり、電柱をなぎ倒した。目で破損箇所を確認するのにも大変な労力がいる。電線を復旧しても、うまく電気が流れない場合もある。というのも、長大な配電網のどこに不具合があるかを完全に把握するのは難しいからだ。

また、復旧した後に、倒木などが原因で再び停電が発生する事態も相次いでいる。大網白里市の季美の森地区では、復旧後に別の場所での倒木によって再び停電に見舞われた(現在は復旧済み)。

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