エシカルは注目されたが……
私たちの買い物の先でいったい何が起こっているのか? それを見せていく動きがないわけではありません。いわゆる「エシカル」や「ソーシャル」と呼ばれる新しい買い物のカタチもそのひとつです。
「エシカル」はもともと欧米で広がった概念で、日本語になおすと「倫理的な」「道徳的な」という意味になります。一般的には、環境に優しいエコ製品や、途上国支援につながるフェアトレード、地産地消に代表される地域支援、LGBTなど社会的なマイノリティに対する支援などが含まれます。ただ、倫理観や道徳観というのは、極めて相対的な考え方であって、時代によって、また文化や宗教によっても、「エシカル」の定義は異なります。
いずれにしても、この新しい「エシカル」や「ソーシャル」というキーワードは、モノがあふれた時代の新しいモノの売り方として、ここ数年、注目されてきました。ファッション誌で特集されたり、大きな百貨店で販売イベントが行われたり、新しい買い物のテーマのひとつとなるかのように見えたのです。
しかし、現実は、このような動きが普通の買い物の中に広がっているとは言いきれません。百貨店などの売り手側としても、モノが売れない中で、その新しいテーマとしてのエシカルに期待したけれども、結果としてなかなか売り上げがとれていない、という声がいろいろなところで聞かれています。
もちろん、まだこのような動きは始まったばかりで、広がっていないと結論づけるのは早いかもしれませんが、現状では買い物のあり方を変えるところまでは至っていません。なぜ期待されたエシカルプロダクトが、そこまで広がっていないのでしょうか?
ハイデザインな展示会roomsがエシカルを始める理由
そんなエシカルプロダクトが抱える課題に、挑戦する動きも出てきています。日本で最もデザイン性が高い展示会のひとつと言われる「rooms」。日本のトップファッションカンパニーのひとつ、H.P.FRANCE(アッシュ・ペー・フランス)が2000年に始めたファッションやデザインの展示会です。そのroomsに前回の2013年から、エシカルエリアが設けられました。そして今年のrooms28(2月18~20日開催)でも、多くのブランドを集めて、エシカルエリアを設けることが決まっています。
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